今月は大河ドラマ特集です。
大河ドラマ一覧
昨年の大河ドラマは「篤姫」でした。主人公の天璋院篤姫は、歴史上の人物としてはほとんど注目されない人物でしたが、幕末を描いた大河ドラマの中では最高の視聴率をあげました。今年の大河ドラマ「天地人」の主人公直江兼次も歴史上華々しい存在ではありませんが、高視聴率を獲得して好スタートを切っています。
まずは今までの大河ドラマの一覧をごらんいたただきましょう。
出典:フリー百科時事典「ウィキペディア」http://ja.wikipedia.org
大河ドラマの歴史 http://www.asahi-net.or.jp/~JM5H-ktkw
いままで放映された大河ドラマ |
No | 放映年 | タイトル | 主人公 | 主な出演者 | 原作 | 脚本 | 音楽 | コメント |
1 | 1963 | 花の生涯 | 井伊直弼 | 尾上松禄 淡島千景 佐田啓二 | 船橋聖一 | 北条誠 | 富田勲 | 大河ドラマ第1作 |
2 | 1964 | 赤穂浪士 | 大石内蔵助 | 長谷川一夫 山田五十鈴 宇野重吉 | 大佛次郎 | 村上元三 | 芥川也寸志 | 映画界の大スターの競演 |
3 | 1965 | 太閤記 | 豊臣秀吉 | 緒方拳 藤村志保 高橋幸治 | 吉川英治 | 茂木草介 | 入野義朗 | 緒方拳の出世作品 |
4 | 1966 | 源義経 | 源義経 | 尾上菊之助 緒方拳 藤純子 | 村上元三 | 村上元三 | 武満徹 | 放送後尾上菊之助と冨司純子が結婚した |
5 | 1967 | 三姉妹 | 架空の人物 | 岡田茉莉子 藤村志保 栗原小巻 | 大佛次郎 | 鈴木尚之 | 佐藤勝 | 江戸幕府崩壊後の旗本三姉妹の物語。幕末の実在人物登場 |
6 | 1968 | 竜馬がゆく | 坂本竜馬 | 北大路欣也 浅丘ルリ子 高橋英樹 | 司馬遼太郎 | 水木洋子 | 間宮芳生 | 大河ドラマ初のご当地ロケ(高知)が行われた |
7 | 1969 | 天と地と | 上杉謙信 | 石坂浩二 高橋幸治 杉良太郎 | 海音寺潮五郎 | 中井多喜夫 須藤出穂 杉山義法 | 富田勲 | 大河ドラマ初のカラー作品 |
8 | 1970 | 樅ノ木は残った | 原田甲斐 | 平幹二郎 吉永小百合 栗原小巻 | 山本周五郎 | 茂木草介 | 依田光正 | 伊達騒動を描く |
9 | 1971 | 春の坂道 | 柳生宗矩 | 中村錦之助 小林千登勢 芥川比呂志 | 山岡惣八 | 杉山義法 | 三善晃 間宮芳生 | 柳生宗矩、石舟斎、十兵衛を描く |
10 | 1972 | 新平家物語 | 平清盛 | 仲代達矢 中村玉緒 緒方拳 | 吉川英治 | 平岩弓枝 | 富田勲 | 大河ドラマ10作目として当時最高の制作費 |
11 | 1973 | 国盗り物語 | 斉藤道三 織田信長 | 平幹二郎 高橋英樹 池内淳子 | 司馬遼太郎 | 大野靖子 | 林光 | 国盗り物語以外の司馬遼太郎の作品の内容も含んでいる |
12 | 1974 | 勝海舟 | 勝海舟 | 渡哲也 松方弘樹 丘みつ子 | 子母沢寛 | 倉本聡 中沢昭二 | 富田勲 | 途中で主役の渡哲也が病気のため松方弘樹に交代 |
13 | 1975 | 元禄太平記 | 柳沢吉保 大石内蔵助 | 石坂浩二 江守徹 竹脇無我 | 南条範夫 | 小野田勇 小幡欣治 土橋成男 | 湯浅譲二 | 柳沢吉保の視点から忠臣蔵事件を描く |
14 | 1976 | 風と雲と虹と | 平将門 藤原純友 | 加藤剛 緒方拳 真野響子 | 海音寺潮五郎 | 福田善之 | 山本直純 | 平安時代中期の承平天慶の乱を描く。大河ドラマ最古の時代。 |
15 | 1977 | 花神 | 大村益次郎(村田蔵六) | 中村梅之助 中村雅俊 浅丘ルリ子 | 司馬遼太郎 | 大野靖子 | 林光 | 花神以外の司馬遼太郎の作品の内容も含んでいる |
16 | 1978 | 黄金の日日 | 呂宗助左衛門 | 市川染五郎 栗原小巻 高橋幸治 | 城山三郎 | 市川森一 | 池辺晋一郎 | 堺の商人たちを描いた作品。初の海外ロケ(フィリピン)を行った |
17 | 1979 | 草燃える | 源頼朝 北条政子 | 石坂浩二 岩下志麻 国広富之 | 永井路子 | 中島丈博 | 湯浅譲二 | 北条政子の生涯を軸に源平合戦から承久の乱までを描く |
18 | 1980 | 獅子の時代 | 架空の人物 | 菅原文太 加藤剛 大原麗子 | オリジナル脚本 | 山田太一 | 宇崎竜童 | 架空の会津藩士と薩摩藩士を軸に幕末から明治を描く。パリロケ。 |
19 | 1981 | おんな太閤記 | ねね | 佐久間良子 西田敏行 中村雅俊 | オリジナル脚本 | 橋田寿賀子 | 坂田晃一 | 秀吉の正室・ねねの視点から戦国時代を描く。「おかか」が流行語に |
20 | 1982 | 峠の群像 | 大石内蔵助 | 緒方拳 松平健 多岐川裕美 | 堺屋太一 | 冨川元文 | 池辺晋一郎 | 忠臣蔵事件を現代と対比して描く |
21 | 1983 | 徳川家康 | 徳川家康 | 滝田栄 役所広司 大竹しのぶ | 山岡荘八 | 小山内美恵子 | 富田勲 | 徳川家康の生涯を描く |
22 | 1984 | 山河燃ゆ | 架空の人物 | 松本幸四郎 西田敏行 大原麗子 | 山崎豊子 | 市川森一 | 林光 | 近代3部作の第1作。アメリカで海外ロケ |
23 | 1985 | 春の波濤 | 川上貞奴 | 松坂慶子 中村雅俊 風間杜夫 | 杉本苑子 | 中島丈博 | 佐藤勝 | 日本初の女優川上貞奴と明治の自由民権運動を描く |
24 | 1986 | いのち | 架空の人物 | 三田佳子 役所広司 伊武雅刀 | オリジナル脚本 | 橋田寿賀子 | 坂田晃一 | 戦後の女医の物語。歴史上の人物が全く登場しない唯一の大河ドラマ。アメリカ海外ロケ |
25 | 1987 | 独眼流政宗 | 伊達政宗 | 渡辺謙 三浦友和 桜田淳子 | 山岡荘八 | ジェームス三木 | 池辺晋一郎 | 久々の歴史大河ドラマで大ヒット。「梵天丸もかくありたい」が流行語に |
26 | 1988 | 武田信玄 | 武田信玄 | 中井貴一 柴田恭兵 紺野美沙子 | 新田次郎 | 田向正健 | 山本直純 | 武田信玄の生涯を描く。前年に続き大ヒット |
27 | 1989 | 春日局 | 春日局(おふく) | 大原麗子 山下真司 長山藍子 | 橋田寿賀子 | 橋田寿賀子 | 坂田晃一 | 反逆者の娘おふくが、3大将軍家光の乳母として成功する物語 |
28 | 1990 | 翔ぶが如く | 西郷隆盛 大久保利通 | 西田敏行 鹿賀丈史 賀来千賀子 | 司馬遼太郎 | 小山内美江子 | 一柳慧 | 西郷・大久保を中心に司馬遼太郎の他の作品の内容も含んでいる |
29 | 1991 | 太平記 | 足利尊氏 | 真田広之 沢口靖子 高嶋政伸 | 吉川英治 | 池端俊策 | 三枝成彰 | 足利尊氏を中心に鎌倉幕府の滅亡や南北朝動乱を描く |
30 | 1992 | 信長 | 織田信長 | 緒方直人 菊池桃子 仲村トオル | 田向正健 | 田向正健 | 毛利蔵人 | 宣教師ルイス・フロイスの目から見た信長の生涯を描く |
31 | 93年6月まで | 琉球の風 | 架空の人物 | 東山紀之 沢田研二 原田知世 | 陳舜臣 | 山田信夫 | 長生淳 | 放送期間が半年となった作品 |
32 | 93年6月〜94年3月 | 炎立つ | 藤原経清 藤原清衡 秀衛 泰衡 | 渡辺謙 村上弘明 渡瀬恒彦 | 高橋克彦 | 中島丈博 | 菅野由弘 | 9ヶ月間、三部構成(前九年の役、後三年の役、源平・奥州合戦)。渡辺謙は経清と泰衡の2役 |
33 | 94年4月〜12月 | 花の乱 | 日野富子 | 三田佳子 市川団十郎 萬屋錦之介 | オリジナル脚本 | 市川森一 | 三枝成彰 | 9ヶ月間、足利義政の正室日野富子を中心に応仁の乱前後の時代を描く |
34 | 1995 | 八代将軍吉宗 | 徳川吉宗 | 西田敏行 大滝秀治 斉藤由貴 | オリジナル脚本 | ジェームス三木 | 池辺晋一郎 | 吉宗を描いたコメディ色の強い作品 |
35 | 1996 | 秀吉 | 豊臣秀吉 | 竹中直人 高嶋政伸 沢口靖子 | 堺屋太一 | 竹山洋 | 小六禮次郎 | 90年代以降の大河ドラマでは唯一平均視聴率が30%を突破 |
36 | 1997 | 毛利元就 | 毛利元就 | 中村橋之助 上川隆也 富田靖子 | 永井路子 | 内館牧子 | 渡辺俊幸 | 中国地方の覇者毛利元就の生涯を描く |
37 | 1998 | 徳川慶喜 | 徳川慶喜 | 本木雅弘 菅原文太 石田ひかり | 司馬遼太郎 | 田向正健 | 湯浅譲二 | 江戸幕府最後の将軍徳川慶喜を幕末の動乱から江戸無血開城までを描く |
38 | 1999 | 元禄繚乱 | 大石内蔵助 | 中村勘九郎 石坂浩二 大竹しのぶ | 船橋聖一 | 中島丈博 | 池辺晋一郎 | 忠臣蔵事件を幕府への抗議として描く。吉良上野介が悪役として描かれていない |
39 | 2000 | 葵徳川三代 | 徳川家康 徳川秀忠 | 津川雅彦 西田敏行 岩下志麻 | オリジナル脚本 | ジェームス三木 | 岩下太郎 | 関が原合戦から家光の治世までを描く。初のハイビジョン作品 |
40 | 2001 | 北条時宗 | 北条時宗 | 和泉元彌 渡辺謙 西田ひかる | 高橋克彦 | 井上由美子 | 栗山和樹 | 元寇を中心に時宗の一生を描く。CGを多用した |
41 | 2002 | 利家とまつ | 前田利家 その妻まつ | 唐沢寿明 松嶋菜々子 香川照之 | 竹山洋 | 竹山洋 | 渡辺俊幸 | 利家とまつの出世物語。トレンディドラマに出演する俳優が多く出演 |
42 | 2003 | 武蔵 | 宮本武蔵 | 市川新之助 米倉涼子 松岡昌宏 | 吉川英治 | 鎌田敏夫 | エンニオ・モリコーネ | NHKテレビ放送開始50周年・大河ドラマ40周年記念作品 |
43 | 2004 | 新選組! | 近藤勇 | 香取慎吾 山本耕史 藤原竜也 | オリジナル脚本 | 三谷幸喜 | 服部隆之 | 新選組隊士役を日年齢に近い若手俳優が演じる。近藤と竜馬が江戸で知り合いという仮説に驚く |
44 | 2005 | 義経 | 源義経 | 滝沢秀明 松平健 石原さとみ | 宮尾登美子 | 金子成人 | 岩代太郎 | 悲劇のヒーロー義経を、兄弟や親子の生き様をテーマに描いた作品 |
45 | 2006 | 功名が辻 | 山内一豊 その妻千代 | 仲間由紀恵 上川隆也 武田鉄矢 | 司馬遼太郎 | 大石静 | 小六禮次郎 | 山内一豊とその妻千代の出世物語 |
46 | 2007 | 風林火山 | 山本勘助 | 内野聖陽 市川亀治郎 柴本幸 | 井上靖 | 大森寿美男 | 千住明 | 武田信玄の軍師である山本勘助の生涯を描く |
47 | 2008 | 篤姫 | 天璋院篤姫 | 宮崎あおい 瑛太 松坂慶子 | 宮尾登美子 | 田淵久美子 | 吉俣良 | 13代将軍徳川家定の正室篤姫の生涯を描く。幕末大河ドラマ最高の視聴率 |
48 | 2009 | 天地人 | 直江兼次 | 妻夫木聡 北村一輝 常盤貴子 | 火坂雅志 | 小松江里子 | 大島ミチル | 上杉景勝に仕えた直江兼次の生涯を描く。女性作曲家が始めて大河ドラマの音楽を担当 |
大河ドラマ考察
私は第1回目の大河ドラマを覚えています。
船橋聖一の原作「花の生涯」は1952年から53年にわたって毎日新聞に掲載されていたとき夢中になって読みました。高校時代の頃です。
10年後大河ドラマ第1作になりました。社会人4年目でした。尾上松禄、佐田啓二、淡島千景の競演が目に焼きついています。
それから46年がすぎ、今年は第48作「天地人」が放映されています。振り返ってみると熱心に見た年といい加減に見た年とがあります。最初の何回かみて肌に合わないと感じた年は、それほど熱心には見ておりません。日曜日の夜8時は、プロ野球の中継と重なるため、ジャイアンツが快調な年は野球のチャンネルにあわせたほうが多かったように思います。
ここで48作を振り返っていくつかの分析をしてみましょう。
まず物語の舞台となった時代やテーマをみてみましょう。
@戦国時代−安土桃山時代−徳川初期 18回
A幕末 10回
B源平時代 4回
B忠臣蔵事件 4回
D江戸時代 3回
E平安時代 2回
E昭和時代 2回
G鎌倉時代 1回
G南北朝時代 1回
G室町時代 1回
G明治時代 1回
G琉球王朝 1回
多くの英雄が登場した戦国時代から、徳川幕府の基礎が固まる頃までを描いたドラマが圧倒的に多くを占めています。
昭和の時代を描いたドラマは2回ありました。どちらも架空の人物が主人公となるドラマでした。
これと明治時代の1回を除くとあとはすべて幕末以前の物語です。大河ドラマが時代劇ドラマといわれる所以です。
次にドラマの主人公を見てみましょう。総数は54人、うち女性が8人です。架空の人物は除いています。43作で主人公が54人というのは、複数の主人公が取り上げられているからです。
@大石内蔵助 4回
A織田信長 2回
A豊臣秀吉 2回
A徳川家康 2回
D源義経 2回
以上が複数回登場した主人公です。
1回だけ登場した主人公は下記のとおりです。
井伊直弼、坂本竜馬、上杉謙信、武田信玄、原田甲斐、柳生宗矩、平清盛、斉藤道三、勝海舟、柳沢吉保、平将門、藤原純友、大村益次郎、源頼朝、北条政子、足利尊氏、日野富子、藤原常清、藤原清衡、藤原秀衡、藤原泰衡、北条時宗、伊達政宗、毛利元就、呂宗助佐エ門、前田利家、まつ、山内一豊、千代、ねね、春日局、山本勘助、徳川秀忠、徳川吉宗、徳川慶喜、宮本武蔵、近藤勇、西郷隆盛、大久保利通、川上貞奴、篤姫、直江兼次。
これ以外に架空の人物が主人公となる作品が5作あります。
主人公以外にも、主人公を取りまく人物が当然登場します。
たとえば、戦国時代なら織田信長、豊臣秀吉、徳川家康などが、幕末なら西郷隆盛、坂本竜馬、近藤勇などが何度も登場し、それをいろいろな俳優が演じています。どのドラマで誰がどの人物を演じたか、調べてみるのも面白いですね。
次は原作者を見てみましょう。
@司馬遼太郎 6回
A吉川英治 4回
B山岡荘八 3回
C船橋聖一 2回
C堺屋太一 2回
C永井路子 2回
C海音寺潮五郎 2回
C大仏次郎 2回
C宮尾登美子 2回
C高橋克彦 2回
1回だけ取り上げられた原作者は次のとおりです。
村上元三、山本周五郎、子母澤寛、南条範夫、城山三郎、山崎豊子、杉本苑子、新田次郎、橋田寿賀子、田向正健、陳舜臣、竹山洋、井上靖、火坂雅志。
これ以外に、原作のないオリジナル脚本が7回あります。
その脚本家は、山田太一、橋田寿賀子(2回)、市川森一、ジェームス三木(2回)、三谷幸喜となっています。