今月は大学入試センター試験を取り上げます。
 2010年の受験シーズンも終盤に差し掛かりました。
 毎年2月ころになると、今から55年ほど前の大学受験の思い出が甦ってきます。他のことは何も考えず、一途の姿勢で真剣に勉強に取組んだ青春の思い出です。
 それから30年後は子供たちの受験に心配の日々でした。
 私の孫たちはまだ小さく大学受験は先のことですが、この通信の読者の中にはお孫さんの大学受験に心を悩ませている方がおられることと思います。願いどおりの大学に入学できるようお祈りいたします。

大学入試センター試験

1.大学入試センター試験とは
 平成22年1月16日(土)、17日(日)の2日間、全国各地で「平成22年度大学入学者選抜に係る大学入試センター試験」が行われました。
 独立行政法人大学入試センターが出している「大学入試センター試験実施要領」から、かいつまんでその内容を説明しましょう。 

 まずその趣旨です。「大学入試センター試験は、大学に入学を志願する者の高等学校の段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを主たる目的とするものであり、国公私立の大学(短期大学を含む)が、それぞれの判断と創意工夫に基づき適切に利用することにより、大学教育を受けるにふさわしい能力・適性等を多面的に判定することに資するために実施するものとする」となっています。
 したがって大学によってはセンター試験の結果を利用しないところもあるようです。そのような大学だけを受験する受験生は入試センター試験は受けなくてもいいのです。また利用の仕方も大学ごとにまちまちです。その例を第2章で見てみましょう。

 試験問題の作成や採点・集計などは大学入試センターが行い、試験場の設定や実施などはセンター試験を利用する大学が共同して担当します。受験生は志望する大学に行って受験するのではなく、在学する高校のある地域に設定された試験場で受験することになっています。
 私が受験した昭和30年と31年は、国公立大学が1期校と2期校に分かれていて、試験はその大学に行って受験しました。志望者の多い大学では1次試験と2次試験があり、2次試験は1次試験合格者が受けるようになっていました。
 センター試験はこの1次試験を全国共通問題で、同時に、受験生の地元で行うものと解釈してもよいかもしれません。
 試験科目と時間割は次ページの表の通りです。
 全科目受験すると9科目になりますが、その必要はなく、科目数の多い東京大学でも6科目です。受験生は志望する大学の入試要項にあわせて試験教科と科目を選び受験することになります。通常は落ちることも考えて複数の大学を受験することが多いので、複数の大学の入試要項に書かれている科目を選ぶ必要があります。
 自分の成績を知りたい場合はセンター試験の願書にその旨記入すると入試センターから成績が知らされます。ただその時期は大学の入学試験が終了した4月16日となっております。
 受験料は3教科以上受験の場合は18000円、2教科以下の場合は12000円、成績が知りたい時は手数料800円となっています。

 大学は入試センターに要求して、自分の大学の受験生の個人別科目別得点を知ることができます。その際、大学は受験生1人当たり570円の手数料を入試センターに支払うことになっています。
試験日試験教科・科目試験時間配点
第1日公民現代社会、倫理、政治・経済9:30−10:30100点
地理歴史世界史A、世界史B、日本史A、日本史B、地理A、地理B11:15−12:15100点
国語国語13:30−14:50200点
外国語英語、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語(筆記)15:35−16:55200点
(リスニング−英語のみ)17:35−18:3550点
第2日理科@理科総合B、生物T9:30−10:30100点
数学@数学T、数学T・数学A11:15−12:15100点
数学A数学U、数学U・数学B、工業数理基礎、簿記・会計、情報関係基礎13:30−14:30100点
理科A理科総合A、化学T15:15−16:15100点
理科B物理T、地学T17:00−18:00100点

2.大学のセンター試験利用の例
 入試センター試験の結果をどのように利用するかは各大学にまかされています。大学によっては入試センター試験を受けなくてもよい大学もあるようです。
 インターネットでいくつかの大学の入試制度を検索してみました。最近の入試制度は複雑で私の知識では理解できないところもあります。間違っているかもしれません。

東京大学
 東京大学の志願者は下記6科目の入試センター試験の受験が必修になっています。
文科各類理科各類
国語必修必修
地理歴史1科目選択地・公どちらかで
公民1科目選択1科目選択
数学1科目選択1科目選択
理科1科目選択2科目選択
外国語1科目選択1科目選択
  −文科、理科ともに900点満点
  −選択科目で必要数以上の科目を受験した場合は高得点の科目が判定に利用される
 センター試験の結果はまず志願者の脚切りに使用されます。志願者が規定の倍率(前期では文科3倍、理科2.5〜4倍)を超えた場合、センター試験の結果でその倍率まで減らされ、その合格者に2次試験が行われます。
 2次試験では5科目の合計440点満点に、センター試験の110点満点(6科目のセンター試験の合計に110/900を掛け算した数字)を加えた550点満点で判定されます。
 東京大学ではセンター試験の結果は2度利用されることになります。したがって東大の受験生にとってはセンター試験は大変重要な意味を持っています。

早稲田大学政治経済学部
 早稲田大学は13学部があり、入試制度は各学部によって異なります。ここでは政治経済学部を例にとってみましょう。
 早稲田の政経学部に入るには、「一般入試」「センター利用入試」「AO方式による入試」「指定校推薦入試」「社会人入試」「外国学生入試」「帰国生入試」のどれかで入ることになります。
 このうち「センター利用入試」はセンター試験の結果のみで合否が判定されます。入試科目は英語、国語、数学2科目、地歴・公民から1科目、理科1科目の6科目800点満点です。2次試験はありません。
 ところが「センター利用入試」の募集人員は「一般入試」より少なくなっています。「一般入試」が450人に比べて、「センター利用入試」は75名です。「一般入試」と「センター利用入試」は併願可能となっていますので、早稲田大学政治経済学部に入るには2度のチャンスがあります。
 「一般入試」は英語、国語、選択1科目の3科目です。早稲田大学だけねらう受験生は3科目だけ勉強すればいいと思います。
 早稲田を東大の滑り止めと考える受験生がいるとすれば、せっかく6科目も勉強するのですから、「センター利用入試」も出願するのではないでしょうか。

3.センター試験の英語と国語に挑戦
 入試センター試験が行われた翌日の読売新聞に試験問題と正解が掲載されました。手賀沼通信の記事にならないかと「英語」と「国語」に挑戦しました。
 いまでは「数学」や「社会」や「理科」はとても手に負えません。現在の高校では私たちの時代の「社会」は「公民」と「地理歴史」になり、「数学」と「理科」はそのままですが、その中の科目は細かく分かれています。私たちの時代に比べて社会が複雑になり、科学が進歩している現代を反映してのことと思われます。おそらく学ぶことも増えているのでしょう。
 「外国語」も「英語」「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」の中からいずれかを選ぶようになっていました。日本が国際化に直面していることを示しているのかもしれません。

 「英語」は筆記試験が6問で1時間20分、配点は200点、リスニング試験は2問で1時間(うち30分は機器の調整などで試験時間は30分)、配点は50点です。新聞に出ていたのは当然ながら筆記試験だけでした。
 6問のうち1問は発音の問題、1問は言葉や慣用句や語順の問題でした。残りの4問は長文の英語の文章を読んで問に答えるようになっています。
 はっきりした記憶はありませんが、私が大学の入試を受けた時は、1次試験はたしか短い問題が多く、発音や言葉や慣用句や文法の問題だったように覚えています。
 ところが入試センターの筆記試験は文章の読解力に重点を置いているように感じました。かなりの長文なので、しっかり文章を読んで内容を正しく理解する力が必要です。しかも与えられた1時間20分はそれほど余裕のある時間ともいえません。人によっては時間不足になるような分量です。
 私の場合200点満点で164点、100点満点になおすと82点でした。試験によくあるケアレスミスもありました。あと4点は稼げた結果でした。

 「国語」は4問で1時間20分、配点は200点です。
 1問は論文「岩井克人の『資本主義と人間』」、1問は小説「中沢けいの『楽隊のうさぎ』、1問は古文「源氏物語の補作『恋路ゆかしき大将』」、1問は漢文「黄子雲『野鴻詩的』」からの出題でした。それぞれ文章の1節を読んで、問に答えるようになっています。どれもかなりの長文で、文章の大意を理解するとともに、細部の解釈も要求されるという難問でした。時間も十分ではありません。
 日本語だから何とかなるだろうという軽い気持ちで取組んだところ、とんでもない結果となりました。論文と小説は60%以上取れたのですが、古文は40%そこそこ、漢文にいたっては20%しか取れませんでした。結果は200点満点で92点、100点満点になおすと46点でした。
 古文は「桐壺」ならぬ「藤壺」が出てきたので源氏物語にしてはおかしいと思い、インターネットで調べたら源氏物語の偽書・偽作に近いもののようです。源氏物語では有名すぎて読んでいる人も多く試験問題にはならないのでしょうね。
 また、少し中国語を学んでいるので漢文は分かるのではないかと思っていたのですが、漢文は現代の中国語とは全く別物でした。甘さを思い知らされました。

 2月5日に入試センターから結果が発表されました。
国 語英 語
受験者数497,431人512,451人
平均点53.81点59.07点
最高点100点100点
最低点0点0点
各点数は100点満点の数字です。

市民カレッジ「我孫子を知る」コースに出席

 平成21年5月から12月まで、我孫子市公民館の主宰する市民カレッジ「我孫子を知る」コースに参加しました。お金のかからない研修講座は時間に余裕のある年金生活者にとっては願ってもない暇つぶしです。
 参加費は1000円、場所は家から歩いて10分足らずのアビスタです。
 以前我孫子市の社会教育ゼミナールや千葉県の生涯大学などに参加しましたが、いずれも数年がかりの研修でした。しかも自分たちで企画実践する部分があり、かなり覚悟を決めて参加する必要があったのですが、市民カレッジはお仕着せの講座で、企画と運営は我孫子公民館とNPO法人「ふれあい塾あびこ」におまかせという、参加者にとっては大変楽な講座でした。
 参加者は定員いっぱいの36名、木曜日の午前中のためほとんどが高齢者で、男性22名、女性14名でした。
 退職後11年となり、自治会の役員やボランティア活動やサークル活動などを経験しました。また、手賀沼通信を発行して11年になるため、比較的地域とつながりがあり地元を知っているつもりでしたが、12回の講座はあらためて我孫子を知るまたとない機会となりました。
 以下は講座の内容です。
日時 テーマ 講師担当部門
5/14 古墳時代の我孫子 我孫子市教育委員会
5/28 江戸時代の我孫子 我孫子市史研究センター
6/11 平安から中世の我孫子 我孫子の文化を守る会
6/25 史跡めぐり@−我孫子地区 我孫子の文化を守る会
7/9 明治からの我孫子 我孫子市教育委員会
9/10 白樺派の文人たち 白樺文学館
9/24 史跡めぐりA−布佐地区 我孫子の文化を守る会
10/8 手賀沼を知る 我孫子市手賀沼課
10/22 我孫子市の現状と将来像 我孫子市企画課
1011/12 我孫子市の基本構想の見直し 我孫子市企画課
市民と進める行政改革 我孫子市総務課
1111/26 最近の財政状況と改善対策 我孫子市財政課
我孫子市の市民活動 我孫子市市民活動支援課
1212/10 事例紹介「私の市民活動を語る」 NPO法人デイヘルプ
締めくくりの話し合い 当日講師、公民館、市民活動団体関係者

 我孫子の歴史を知る4回の講座では、地元の歴史を研究している専門家から、昔の資料や写真や地図などをもとに分かりやすい説明がありました。
2回の史跡めぐりは戸外での研修でした。我孫子の文化を守る会の副会長の越岡礼子氏が案内役で、最初は我孫子駅から、2回目は布佐駅からスタートしました。我孫子市には史跡が豊富で、こんなところにも史跡があるのかと思うほど、目からうろこでした。越岡さんはいろいろなエピソードを交えながら懇切丁寧に説明してくれました。
 白樺派の文人たちの講座は、白樺文学館顧問の渡辺貞夫氏による教室での説明の後、氏の案内で白樺文学館まで行って実見しました。志賀直哉、武者小路実篤、柳宗悦、バーナード・リーチなどに関する資料が展示されています。文学館には何度も足を運んでいますが、やはり専門家による説明があると違います。単に展示物を見るだけでは分からなかったことが、あらためて理解できました。
 「手賀沼を知る」講座では、市の手賀沼課の津川雄飛氏の説明の後、手賀沼公園の船着場から湖上園の津川社長が操縦する遊覧船に乗り、社長からユーモアあふれる説明を受けました。
 9回目と10回目は我孫子市の現状について我孫子市市役所職員が説明しました。我孫子市も他の地方自治体と同じように少子高齢化に向っており、厳しい財政事情に直面しているようです。硬直化している原因は人件費とのことでした。我孫子市の給与水準は全国の地方自治体の中でもベスト10に入るくらい高いと聞いていたので質問しましたが、明確な答えは返ってきませんでした。
 我孫子市は市民活動の盛んなところです。コースの最終回には、ボランティアで高齢者の住宅に手すりをつけたり、段差をなくしたりするNPO法人デイヘルプ理事長の森谷良三氏の講演がありました。森谷さんはそのボランティアで全国的にも有名となり、何度もテレビなどのマスコミに登場しています。市の職員の話と違って大変勇気づけられる講演でした。

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