今月号は43号の「日本と日本人をダメにした3悪」について、読者の皆様からいただいたご意見でまとめてみたいと思います。
 私の3悪を再度掲げます。
日本をダメにしている3悪
  ・自民党
  ・官僚制度
  ・銀行
日本人をダメにした3悪
 ・社会党
 ・日教組
 ・朝日新聞

 自分たちの利権を守るため小泉内閣の改革への反対が自民党の中でなりふりかまわずになってきたこと、農水省や厚生労働省の狂牛病のお粗末な対応、テロ対策に対する民主党の一部と社民党の相変わらずの反対、銀行の底の見えない不良債権と株価の下落、学校の先生方のおそまつな行状などますます日本と日本人をダメにする悪が鮮明になってきました。朝日新聞についてはいただいたご意見でつくされています。
 ご意見はメールで13人の方から、はがきで2人の方からいただきました。テーマが固かったせいか、あるいは私の独断と偏見は無視するのが一番と思われたせいか(ごめんなさい)、前回の「明るく楽しく老齢期を過ごし惜しまれて死ぬための12章」の32名のご意見に比べると半分以下でした。
 しかしいただいたご意見はいずれも体験をもとにした貴重なご意見です。項目別にまとめるより投稿者ごとに出来るだけカットしないで、到着順にそのまま載せさせていただきました。
 そのため8ページになり紙面はいつもの倍の長さになってしまいました。前回はA4の大きさで4ページにまとめたため、いただいたメッセージをかなりカットさせていただいたのですが、今回は前後の部分を除いてそのまま掲載させていただきました。じっくり読んでいただければと思います。ただ、お名前は省略さ瀬手いただきました。せていただいております。せていただきました。

 またコンピュータウイルスのニムダ予防の方法をご連絡いたしましたが、ちょっとしたタイミングで間に合わず被害を受けた武藤さんから、ウィルス感染後の奮闘記を受け取りました。皆様のご意見のあとに掲載しております。大変参考になる体験談です。

読者からいただいたメッセージ


 まず地方で一人新聞を出している方のご意見です。
 「銀行が日本をダメにしたという本当の最近の話です。本当は私の一人新聞に書きたいのですが、読者に張本人が居りますので、書けませんので、此処で披露致します。
 私の高校の同級は、地元の銀行に4名も就職しました。1名は直ぐに退職し、現在高校の先生です。残った3名ですが、A君は交通事故で、記憶というか、頭が少々おかしくなったようで、同窓会の案内で電話をしても、私の親友だったのに、応答が変で、絶対に同窓会に出ません。それは仕方のない事で辛い事故のお陰なのでしょうが、我々の中小企業だと、後は政府の社会保障に任すと思われます。またそうしないと企業は淘汰されて行くからです。その銀行は本人を今も子会社に回して給料を支払って本人は安穏に生活しているようです。この点は人によって良いと言う人もいるでしょうが、我々厳しい中小企業を経営してきた者にはそんな甘い経営で倒産しないのは変だと思っております。
 もう一人のB君はどこの大学か私は忘れましたが勉強もマズマズ上位クラスだったし、40代から役員になり、それは全く問題もないのですが、最後のもう一人C君です。最近役員になったのです。これが問題なのです。同窓会でも或る友人は怒っておりました。「あいつが役員とはあの銀行も酷いものだ。定年間際まで支店長だったのが、どうして急に役員になるのか。温情人事でしかない。」とサンザンな意見が出る始末です。高校の時も勉強も振る舞いも全く目立たない存在だったし、一部上場企業の役員になれる人物ではなかったからです。銀行は今でもそんな人事を遣っても生きて行ける環境だと言う事です。恐らく数年役員をさせて箔を付けて、62か3で退職させるのでしょうが、それなら来年の60歳でスパッと退職させるのが普通の企業です。まだまだ銀行環境はこの状態では生ぬるいと言えるでしょうね。
 私はこの意見を聞いて、みんな良く見ていると感心した所です。地元ではこの銀行は一番良い大企業の職場なのです。これを横で聞いていた恩師の先生は全く何も言いませんでした。言えないですよね。みんな教え子ですからね。」

 次は中国の蘇州大学で日本語を教えている方のご意見です。
 「年を取ると焦りと僻みが我がままを生み、物事を悲観的にしか見られなくなるのは一般的な傾向ですが、最近の日本のダメぶりには一般的な傾向を外れた異常さが感じられます。怒りの元である熱も冷え切って、議論で飛ばしたい唾の泡までなくなった感じなのは、年取ったせいばかりでもなさそうです。
 世の中デフレスパイラルにあがきつつありますが、このスパイラル(くもの巣)が曲者で、同じようなところをぐるぐる回っているうちに地獄に落ちてしまうという現象は昔から誰しもが考えたことでした。
 IBMでは、以前問題がおきたら真の原因追求のために「何故」を5回言えとよく言われました。これは、確かに真の原因を探る意味では簡単でしかも真に迫ることができる方法として私は、地域の団体やら、家庭内の問題までにも有難く利用しております。
 自民党が長い(何故?)⇒何をやっても選ばれるから(何故?)⇒国民がバカだから(何故?)⇒学校の教育が悪いから(何故?)⇒親がバカで、子供の躾が出来ないから(何故?)⇒文部省が将来の日本国民を育てる意識に欠けるから(何故?)⇒政治が日本の将来を本当に考えていないから(何故?)⇒自民党が自分の金儲けばかり考えているから(何故?)⇒何をやっても選ばれるから・・・。
 どこかでこの連鎖を断ち切ることがもっとも大切で、且つ最も難しいことだと思います。この中で、以外に忘れられているのが「国民がバカだから」と言うあたりでしょう。いくら自民党が悪いといっても、それをこれでもかこれでもかと選ぶ国民のバカさには呆れます。先ず、悪いことをしたらそれを落とす、それから誰かにやらせる、それがダメならまた落とす、という具合にとにかくやらせて見ることが必要です。新しいのなら良いかもしれないじゃないですか?それなのに、悪いとわかっているのをまたやらせて、反省の機会さえ与えない国民は最大のバカです。以前、投票率が低ければいいのに、と言ってしまった森前首相は、正直でした。でも、これだけ国民をコケにした言葉はありません。国民は舐められきっています。
 選挙の投票率の如何による国民のバカさ加減には、マスコミが主として責任を負うべきです。「今日選挙に行ったかい?」「行かねーよ。行ってもどうにもなんねーもの」これは私が実際に見たテレビの番組でたけしが言った言葉です。これがバカな若者に与える影響について、マスコミが不感症であることの情けなさには涙が出ます。せめて、選挙の前一両日ほどは、ドラマの中でも「選挙には行かなきゃ、テレビみる資格もありゃあしねー!」とあらゆる俳優に台詞を吐かせろと言いたいです。どこかの国では、選挙権の行使は義務として定められています。誰に投票していいかわからないという若者には、「Think!考え方が足りないだけだ」とどやしつけることが大切です。
 今中国の大学への新入生は全員漏れなく1ヶ月の軍事教練に入っています。彼らは、姿勢を正して歩行し、気を付け!から回れ右などをやるだけですが、素人目にも最初と1ヶ月経った頃との纏まりがはっきり違います。
 社会人になる前に自衛隊で3ヶ月程体と頭を鍛えなおすこと。
 お母さんに、甘やかされて何ら我慢することも知らない若者全員が、3ヶ月自衛隊に行って、社会人になるための基本的な礼儀作法、ひ弱な体力の改善と、選挙権を初めとする社会的な義務の重要さ、社会の中で自立するためのきっかけを強制的に与える。これが遠回りのようですが、すぐ切れる若者を鍛えなおし、自分の頭で考え、投票率の改善につながり、ひいては悪の連鎖を断ち切ることになってもらいたい、という私の希望を実現するための現時点での提案です。」

 続いて以前一緒に仕事をしていた方のご意見です。
 「先輩の論ずる「3悪」についてうんぬんする資格が私にあるとは思えませんが、「ダメにした・・」方は全く同感です。一種の見栄で社会党に投票する家内の勘違いを説得し、私を教育してくれた故郷の先生方と同じ事を子供達の担任に期待して失望し、かつて愛読していた朝日新聞のあまりの偏向ぶりに子供達への悪影響を避けるために読売新聞に換えたいきさつがあります。
 私の生まれ育った長野県は、新田さんのお国の伊予のように温暖で豊かな所ではなく自然環境の厳しい貧しい地方です。これに加えて私が義務教育を受けた昭和20年代後半から30年代にかけては、まだ戦後そのもので物質的にも恵まれない時代でした。その中で長野県の義務教育の現場の先生方は文部省や教育委員会の官僚的な方針と、日教組の教師の利害中心の方針との対立に悩んだ末に、この両者から独立した生徒のことを最優先で考える「信濃教育会」という組織をつくり上げて私達を育ててくれました。口角泡をとばして対立していた教育長と日教組の幹部が、「これから議題を信濃教育界の討論に切り替える」というひとことで、子供達のために何をすべきか真剣に話し合ってくれたと聞いています。国際的に見て英語の能力が劣ったり算数理科の好きな子が少ないことは当然残念とは思いますが、ボランティアに 関心がある子供が少ないことはもっと心配です。修学旅行の費用を出せない一部の子供達の気持ちを考えて、奈良京都に行く替わりに食料持参で北アルプスにキャンプ登山をしたり、松本城の芝生広場の草むしりや下水が無い頃のドブ掃除に参加することを、全国共通一斉テストで良い成績を上げることよりもれた先生方を今でも懐かしく思い出します。
 自分の子供達の担任教師と比べて、私は恵まれた環境で育ったと今でも感謝しています。帰省の折に親兄弟親戚と全く同様に、担任だった先生方のお宅にお邪魔する習慣は今でも続いています。」

 つぎは朝日新聞についてのキツーイ体験談です。
 「朝日新聞が嫌いになった件をお知らせ致します。数年前に一人新聞に大きく書いたので、御存知かも知れませんが、もう一度書いてみます。一人でも多くの人に朝日のやり口を知らせて欲しいのです。できれば何処ででも言って欲しい件です。
 私は手袋メーカーのスワニーという会社を兄と一緒に経営しておりました。9年前に会社を兄に任せ、私は退職し、高知の過疎地に入植して女房と2人で自給自足の百姓をしております。この話は昔の事ですが、何としても朝日新聞の酷い体質を一人でも多くの人に知って貰いたいので、新田様にお知らせするのです。
 縫製企業の中でも手袋と言うのは一番面倒な小さな作業で、ほぼ作業の全てを人力によって生産されております。その上販売は冬の寒さに大きく影響されるし、需要は小さいし、商品内容は皮手、ニット、ビニール生地の手袋と色々あり、どうにもならない業種のようで、年中生産して販売は一瞬という商売です。今になって業界を見ると、スワニーが一番古い会社となり、一番大きな会社として残っております。つまり、他は殆ど倒産したと言う訳です。また、米ドルで女工さんの給料が100ドルを越えると、その国では成り立たない業種なのです。それでも生きて行かねばなりません。倒産させて良い筈は無いのです。
 ニクソンショックで1ドル360円が崩壊した72年だったと思います。この時は手袋業界は大変な状態に突入しました。数百あるメーカーで輸出で生きていたメーカーは約半分でしたが、我がスワニーも輸出で生きていたのです。今まで1ドル出荷すると360円のお金になったのに、その時以後は多分308円になったと思います。これで、沢山あった競合メーカーは全て枕を並べて倒産したものでした。生き残ったのは我が社1社だけでした。理由は手袋を韓国に逃げさせ、国内ではボーリングにと飛びついたのです。我々が若かったからでしょうね。今なら出来ません。
 所が韓国に逃げた手袋が成功し、国内のボーリングはブームが去って四苦八苦となり、ボーリング担当をした私は困ったものでした。何とか2つのボーリング場を閉鎖して、やはり本業に力を入れボーリングの借金を返そうと私は韓国に渡り、本業の手袋に力を入れ、従業員も最終は1200名までになるのですが、そしてその間にボーリングの借金も何とかなりましたが、韓国の給料が100ドルを越えるようになったのです。
 輸出ではどうにもならないと、少ない日本の国内需要を狙って私が日本に帰り国内営業に掛かりました。それが効を奏し、今では国内販売が主力の会社になっておりますが、その為には恐らく小さな家内工業の手袋メーカーが数百廃業したものと想像します。韓国からの安い手袋を日本で販売するのですから、競争は無理なのです。いまのユニクロの立場ですよね。そうそうユニクロも手袋だけは自社生産は無理でスワニーから買って居るそうです。
 それでも幾ら頑張っても韓国での生産は不可能となり、中国に拠点を移し変え始めたのですが、韓国の工場撤退で酷い労働争議に発展してしまったのです。丁度韓国では労働争議の自由が確立され、それまでは違法として警察が取り締まっていたので、その反動で厳しい争議となったのです。
 問題はその時点で発生したのですが、朝日新聞がねつ造記事を発表したのです。つまり渡り鳥企業としてスワニーを厳しく書いたのです。公平なニュースなら良いのですが、内容をねつ造をしたので大変困った事になってしまったのです。そのねつ造の内容ですが、色々有る中で特に酷いと感じたのは、韓国の平均給料と我々外資系企業の平均給料のねつ造ニュースを書いたのです。どこの国でも労働者の主力は男性の壮年ですよね。全国の労働者の平均とは全ての業種の平均となる筈です。所が韓国は若年労働の吸収を外資に希望し、重工業は国内産業の大手を保護する為に外資を禁止していたのです。
 つまり韓国にある外資系の平均給料とは、若年女性労働が90%の企業しか無いのに、それを比較してニュースにしたのです。新聞社はその点の専門家ですので、良く理解していると思いますが、同じ業種との比較では低賃金と言えないので、どうして日本からの企業が韓国で低賃金で酷使しているかを表現するのにどのデーターが良いか色々考えたと思います。
 日本の国内でも、銀行やマスコミの平均とアルバイトやパートが殆どの小売り業との給料差は大きいのです。その差を業種差でなく、外資つまり日本からの企業だからと認定した大きなキャンペーンを張ったのでした。まるで我々は韓国の労働者の生き血を吸っている吸血鬼のように書いたものでした。
 我々も難民で韓国に行ったのではありません。企業経営で命より2番目に大切な資金を投資して進出したのです。地元の企業より少しでも悪い給料で労働者を雇うなど考えもしないことで、恐らく同じ業種だと30%は常にオーバーな給料にしておりました。このニュースのお陰で詳しい内容を理解しない日本の全ての人から悪い会社と認定され、大勢の過激労働組合の支援を受けて、韓国の労働者を呼び寄せ、攻めて来たのでした。日本の本社と言っても40名ぐらいしか居ない小さな会社で、その周囲を300名の過激労組やキリスト教の関係者や在日過激分子や部落解放同盟等々の怖い人々に囲まれる3ヶ月となりました。
 皆さんは知らないでしょうが、日本の労働法は一方的で経営側を守る法律は無いのです。殴る蹴るの毎日の暴力でも、我々は堪え忍ぶしか道は無いのが日本です。守る法は無いからです。警察も手を出せず黙認です。全くどうにもなりません。労働者を守る法は3つあるそうですが、私は内容は知りません。困った国ですね、日本は。警察が出て呉れるのは怪我をした後でしか出ません。これは労働問題でなく事件となるからです。
 それも「日帝36年」と言うお題目で攻めて来るのですよ。日本帝国主義の36年間と言う意味です。1910年から1945年までですからね。これを小さな中小企業にぶつけて来ても解決する筈は無いのです。  この全ての理由は朝日新聞始め、を岩波の「世界」も荷担したねつ造ニュースによって、悪徳企業スワニーと煽動されたから起こった事件でした。韓国人なら立場や言動を何とか理解もしますが、一体彼等は何者なのでしょうか。これが日本を代表する新聞や出版界の大手のやり口なのです。余りにも沢山の事件があり、スワニーに行って当時の資料を出すとまだまだ色々あるのでしょうが、困った人々です。
 結局、3000万円の退職金のプラスで最終決着が付きましたが、これは始から我々が言っていた金額でした。その金額なら韓国から代表を呼ぶ必要もない金額だったのでした。所が最後に驚いた事には、この金額は韓国ウオンで当時1億5000万ウオンだったのですが、それを日本でも1億5000万円と発表すると言う条件でした。我々はそんな事どっちでも良いので了解したのですが、彼等は勝ったと全国に発表したかったのでしょう。つまらん人々ですね。朝日も当然1億5000万円勝ち取ったと大きく報道しました。  内容を知って居ながら馬鹿ですね。所謂社会主義に付いては朝日は気が狂っているとしか言いようがないです。そんなに社会主義が良いのなら北朝鮮でも中国でも行って新聞社を作れば良いのにね。
 長い原稿になりましたが、これで一人でも朝日の購読を止める人がでる事を祈って書いております。
 なお、渡り鳥企業が良いとは言いませんが、では倒産するのとどっちが良いのでしょうかね。我々はその選択を遣らねばならない立場なのです。スワニーは今は中国に1600名の社員居る手袋のメーカーとして生きております。ニューヨークにも販売会社があり、その社長は韓国での韓国人幹部が社長を務てアメリカ人を使っております。今回のテロには被害は有りませんでした。
 蛇足ですが、労働争議の当時、長い日時の闘争だったので、色々話もあり、攻めて来た人は殆どが顎足つきの人で、つまり交通費や食事代も貰い日当を貰っているのも判明しました。それは良いのですが、その後原発反対の主立った人間が彼等だったのです。顔を覚えていたのでテレビで見て分かったのです。また花の博覧会(大阪)に会社で行った時でした。入場口で博覧会反対とマイクで頑張る一軍の人が居たのですが、それも彼等で我々を見ると、お互いに顔を覚えていたのですが、人数がスワニーが多かったので、急いで逃げてしまいました。逃げる必要ないのにね。
 これらから推測すると、うるさい少数の意見がマスコミで報道され、口数の少ない大衆の意見はマスコミでは報道されないと言う事のようです。
 長いこと読んで頂き有り難うございました。これだけ書くのに2時間ぐらい掛かりました。」

 毎週メールマガジンを送ってくださる方からの体験談です。
 「元銀行員の私的な言い訳を、添付ファイルで送ります。それから朝日の無責任ともいえる社説に怒っているものです。
 『昭和六十四年の二月上旬のある日、卓上の電話が鳴ったので受話器をとると、本店の人事部からであった。内容は人事異動を命ずるので、本日の午後二時に本店に来るようにという。私はいよいよ来るものが来たかと思った。
 そのとき私は五十二歳、銀行支店長を三ヶ店勤めて、現在の支店は丁度二年経ったところであった。
 銀行では五十歳を過ぎると、一部の役員候補を除いて、ほとんどの支店長が現役からはずされる。
 本店で役員から言い渡されたのは「人事部審議役を命ず」というものであった。閑職である。今後のことについて人事部より話があるので、部屋の外で待つようにと言われた。
 椅子にかけてぼんやりとした頭で待っていると、これまで担当だった役員が前を通って「ごくろうさま」と声をかけた。「ありがとうございます」と返事をしたものの、人の気も知らないでと、恨めしい気持ちが私の心をよぎる。
 人事部長からは、不動産関係の会社で人材を探しているので、そこへ出向しないかという話であった。破格の好条件であったが、私は、かえってそのことが本能的に気にかかって回答を留保した。
 私は一日考えて、人事部長へ断りの電話を入れた。理由は「私は支店長として、不動産関連の融資を何件も扱ってきたが、この業界の仕事は私の体質に合いそうもないから」と述べた。人事部長の声は不機嫌であった。
 この当時、いわゆるバブルはまだ始まっていなかった。ただその前兆はあった。私の勤務する江戸川区でも、いくつかの不動産プロジェクト案件が持ち上がっており、私もそれには積極的に対応してきたが、つぎつぎと起こるプロジェクトが、その度に金額が大きくなるのに、不安を覚えていた。いきおい私の融資審査は、業者にとってきつい担保の条件を出すことになり、取引先からの私を見る目が、だんだん冷たくなりつつあるのを、感じ始めていたところであった。
 銀行からの出向の斡旋をことわったことで、わたしの宙ぶらりんの日々がはじまった。人事部の部屋の片隅に机を与えられ、朝は女子社員がお茶を運んできてくれるが、仕事については誰からも、何の指示もない。この組織は私をまったく必要としないということを、いやでも認識させられる境遇に置かれたのである。
 こんな状況だったので、私は暇をもてあまして、一人でぶらりと旅に出た。時期は三月の中ごろで、行った先は和歌山の若の浦である。若の浦という語感になんとなく南国の春を感じたからである。
 しかし、若の浦はこの季節、客は少なく、部屋はそこそこの調度品のある立派な部屋であったが、だだっ広く、一人身にあじけない宿であった。俺は何を期待して、こんなところへ来たんだろうとちょっぴり後悔したものである。
 翌日は、前日宿の観光案内で見て、道成寺が近いことを知ったので、そこに行ってみようと思った。まだ私が幼稚園にも上がらないころ、両親が私を連れて「道成寺」の芝居を見に行った。そのときの、大蛇と、着物をきた美しい女の姿が、私の心に残像のように残っていて、恐いもの見たさの心理がからんだ懐かしい思い出となっていたのである。
 道成寺はあいにく本堂の改築中であった。十体ちかくの仏像は仮のお堂に安置されていたのであるが、そのなかの御本尊が千手観音であり、千手観音はなんと私の干支、子年の守り本尊であることを知ったのである。「これは何かのお導きか」と私は何か不思議な気持ちになった。八方に御手を広げられたそのお姿が、大変に頼もしく、私は観音様お守り下さいと両手を合わせた。
 あれからもう十二年が経った。その後、銀行からは大手予備校への移籍の斡旋をうけ、私は飛びつくようにこの話に乗った。そしてそこでは、これまでと違った新しい経験をすることができた。
 私が予備校で海外事業の仕事をしたり、中学生の塾教育等の仕事をしている間に、日本経済はバブルに突入し、私の親しくしていた人たちの内にも、バブルに踊り、バブルに散って行った人たちが何人もでた。
 私にしてもバブルに巻き込まれれば、同じように踊ってしまっただろうと思う。しかし、私は結果としてバブルの戦争犯罪人にはならないですんだ。
 ある人が私に言った「関田さんは、不動産業界は文化のにおいがしないと言って、不動産会社への出向を断ったのだそうですね」
 確かそんなことも言ったように思う。やや得意な気がしたが、ほろにがい感情も胸の内に残っていた。』」

 高齢者の親睦会「あけぼの会」のリーダーの方のご意見です。
 「ご意見に全く同感です。私もそう思います。三悪x2はご指摘の六者の通りですが、基本的に日本人の性格もあると思います。「和の精神」や「一夜漬け」「のど元過ぎれば熱さ忘れる」「まあまあ主義」等がそうでしょう。日本で何をするにも対人関係では、バランス感覚が一番要求されます。突出することが一番いけないのです。ですから、慣習とか実績が重んじられ、新しい事に対処し切れず、対応が遅れるのです。要するに甘いのですね。
 今回の同時多発テロでも、日本人の安否関係が先に出て、テロ自体に対する対応が遅れて世界の失笑を買いました。今日(10月2日)の国会代表質問でも社民党、土井さんの「軍事的だ、対米同盟に偏り過ぎる」共産党の志位さんの「米軍攻撃からアフガン市民の犠牲を防ぐには」とは、日本人を含めて6千人の犠牲者の出た重さが分かって居るのだろうか。小泉首相の「世界から孤立して日本の名誉ある繁栄は保てるのか」の反論は誠に明快でした。
 朝日新聞の偏向は以前から言われて居ましたが、村山家が新聞経営から離れて、変わりましたね。対極的なのは産経です。読売・毎日・日経は比較的中庸でしょうか。ホームページで10紙以上見て居ますが、面白いですね。
 小泉首相の構造改革は非常に重要ですが、ぐずぐずして居ると色々な要素が加わって来て、問題を複雑にして了います。株価下落が更に不景気に拍車を掛け不良債権を増やして了います。早くやりましょう。この重大時には与党も野党も更には内閣主導もなく、挙党で知恵を出し合えないモノですかね。
 昔から、聖徳太子、後醍醐天皇、織田信長、徳川吉宗等、常識人よりも変わり者でないと改革派出来ません。今では小泉首相か慎太郎くらいでしょうか。私は更に挫折を味わった人でないと出来ないと思って居ます。東大出の順調に来た人には出来ません。役人は自分等の事のみ考えて居ますから、政策は政治家が立てねばいけないのですが、どうでしょうか。
 でも、私は日本人は信じて居ます。世界に出しても人後に落ちない民族です。落ちる処まで落ちれば必ず這い上がって来るでしょう、と思って居ます。我々の時代よりは今の人達は楽をして居る分だけ時間が掛かるでしょうけれども・・。」

 次は不定期にメールマガジンを出している方のご意見です。
 「日本と日本人論。どちらの三悪も、およそ我々国民の「鏡」であろうという気がします。はやい話、自民党や社会党の議員は選挙で選んできたわけですし、今もそうです。彼らの「当選至上主義」、「自己」利益追求の体質を誰のせいにするわけにもいかないと思います。選んだのは「私達」です。
 日本も日本人も(いろいろ問題があり、改善すべきことがたくさんあるが)、まずはそのまま受け入れたい、否定し去るのでなく肯定からスタートしたいと思います。日本と日本人がかくあるのは、それなりの理由があるのであり、かって理想的であった日本と日本人が、誰かのせいで堕落したわけではないと思います。」

 以前同じ職場で働いた方のご意見です。
 「昨今の世情を改めて管見し3悪の項と結び付けて見ると合点する事多い日本ですが、改善する王道は何かと言えば教育ではないでしょうか。偏向も、低下(単なる知識でなくモラルも含め)も広い意味での教育で地道に質していかなくてはならないと思います。
 以前紹介されていた「米欧回覧実記」にあった明治人の改革精神を参考にしたいものです。」

 脱サラして小中学生を教育する私塾を経営している方のご意見です。
 「日本と日本人をダメにした3悪・・・世間体を憚らないわりと大胆な意見が軽妙なタッチで書かれていたせいか、とても愉快に読ませていただきました。内容も思わずうなづいてしまうものばかりでした。
 タイトルを「日本を.・・・」だけでなく「日本人を・・・」とされたあたりがさすがだと思います。これを読んでいて、「日本人はダメにされやすい国民なのかな」ということを感じました。みんなしごく真面目だし向上心も旺盛だけれども、肝心なところで自分自身の意見というか意思というものが弱いような気がします。そんな日本人自身の構造改革も必要かな・・。と思いました。」

 東京都中推協の事務局長のご意見です。
 「司馬遼太郎氏が未だ存命だったら、今の日本をどのように見つめるでしょうか。今、司馬遼太郎の随筆、講演集を集中的に読んでいますので、司馬フアンの新田さんにため息と共にぶつけて見たくなっただけです。私は「Voice」の長年の購読者ですので、新田さんの3悪の整理の仕方は、大体同意できます。」

 いつも読後感をお寄せいただいている方のご意見です。
 「日本人をダメにしている要因は記事の通りだと思いますが3悪ではなくもう1悪付け加えない訳には行かないことに反省を込めて気が付きました。
 それは次世代の日本人をダメにしかねない私達に近い年代の父親、母親の存在の多さです。私は定年を間近にしていますが団塊の世代や私と同世代の年代の者は食料が豊かでは無い時代に成長期を過ごし豊かさへの憧れを獲得すべき人生の目的と置き換えて育ちました。目的達成に不可欠なるものとして進学競争に勝ち残ることの重要さも知りました。それらをバネにしてこの世代は世界が驚愕するスピードで日本の経済復興を成し遂げる中枢を担ってきました。
 多くの父親達は企業戦士として家庭を顧みる暇もなく仕事に没頭し、また、母親達は経済的豊かさや子供達により良い教育を与えるために家庭を空け仕事に就きました。が、家族のため、家庭のために良かれと信じて努力してきた結果が子供達にとって魅力に乏しい家庭の誕生に手をかしていた様にも思います。社会人としてのマナーに繋がる幼年期の躾や、少年期に形成され始める人生観は両親の生活や生き方がそのまま投影される筈です。その生活の場である家庭をうまく運営出来なかった父親と母親の過ちは小さくないと思います。
 学級崩壊を来すほど深刻な児童、生徒の存在は学校や教師にのみ責任を求める訳には行きません。これら児童、生徒は私達の世代の子や孫にあたっています。
 将来の希望や人生の意味を良く考えて欲しいと願わずには居られない病んだ若者達を目の当たりにする時、彼等の父親、母親が育んでいくべきであった家庭の大切さを痛感します。」

 北海道で農業と畜産業を営んでおられる方のご意見です。
 「政治の世界はとても難しいです。しかしまた知りたい部分でもあります。深くものを考えない私にも読ませていただき勉強させていただきたいと思います。
 最近は狂牛病問題が一番です。昨年は本別町は口蹄疫で大変でした。牛の移動も禁止になり、牛舎の消毒、通過する道路ではいちいちタイヤに消毒液を噴霧。町内一丸となってボランテイァとして頑張りました。我が家は10キロ圏内からは逃れましたが、目と鼻の先でした。またかという思いで狂牛病の動きを見ています。
 現在我が家は30頭余りの子牛 を飼育しています。冬場に大きくした牛を全部売り、また小さい牛からの飼育を始めました。そのとき値が高くて大変でしたが何とかそろえました。この狂牛病騒ぎで牛の値段が下落していったら、我が家の牛が大きくなって売る頃、買った価格の値を切るのではという不安もあります。
 風評被害では大変苦労しました。あれから一年数ヶ月これからどうなっていくのでしょう。
 政府は口蹄疫の根本原因を明らかにしないまま忘れられようとしています。原因追求はどうなっているのでしょうか。
 そしてこの狂牛病はどうなるのでしょうか。
 今年は例年になく天候が不順で豆類の生育も遅く、まだ豆刈りは終っていません。明日には小豆がかれるかと期待しています。
 いま十勝は紅葉がとても美しいです。遠出することなく紅葉狩りを楽しんでいます。」

 小学校の頃の同級生のご意見です。
 「ところで手賀沼通信第43号主人と共に非常に共感をもって讀ませて頂きました。
 第一 関西はなんと言っても『朝日』の強い所で腹を立てながらも一応読んでおかなくては主婦の間でも相鎚がうてません。そこで毛色の変わった週間誌の視点の異なるレポートを読みます。それとNHKのBS 海外の放送で納得することが多々あります。
 第二は 日教組 私の住んでいる土地は特に強く、まるで逆差別。インテリ層と勝手にランクずけされ 子供達には可哀想な思いをさせました。今では信じられないでしょうね。中国でかつての愛親覚羅家の人々が『卑しめられた』とか そんな感じでした。
 主人は会社人間で信じてくれないし、私にとって日教組は『敵』です。
 この二点だけは言っておきたいのです。」

 もと銀行に勤めておられた方のご意見です。
 「自民党、銀行を除いては大賛成です。
 <自民党>がおかしくなったのは角栄以降、選挙が利権になり下がりました。
 官僚の弊害はマックスウェーバーも説くところですが、手続き社会の日本では倍化しました。
 <銀行>金の世界も需要と供給の世界です。供給した銀行の倫理観の欠如(何とも哀しいのですが)の問題はありますが、求めた企業社会が問題。」

 高校時代の同級生の方からのご意見です。
 「『日本と日本人をダメにした3悪』を読ませて頂いてその内容には私も全く同感です。
 唯、私には一寸・・・・・コワイナアと思ったことは、この年齢までずっと朝日新聞の読者であるということです。
 一つの新聞に染まってしまうことの・・・コワサを以前より考えていましたが、つとめて自宅以外では他の新聞を読むように心掛けています。テレビニュースも同じですね。
 今回のこのテーマは余りにも私には大きすぎて、いろいろ考えてみても文章としてまとまりません。
 恥を知らない、足るを知らない、他人への思いやりの無さ、など日頃から感じている日本人のダメになった部分でしょうが、(偉そうなことを言える私ではないのですが)どうしてこのようになったか? 時代の流れの中で、人間が自分を見失ってしまったのかしらと。
 政治の貧困、これは又、国民一人一人の責任かとも思いますし。将来を思うと暗い気持ちになってしまいます。どうしたらいいでしょうか。」

Nimda奮闘記

武藤清志
 IBM時代の同僚の武藤さんより「NIMUDAに犯され悪戦苦闘の4日間を過ごしました。インターネットは使用できるのですがワードとエクセルが全然使用できませんでした。」というメールに下記の奮闘記が添付されて送られてきました。
 ご参考までにご紹介させていただきます。

 9月26日に新田さんからNIMUDA対策として「IEのパッチをマイクロソフト社のホームページからダウンロードするように」というメールをもらいました。ところが既に遅く25日からワードやエクセルを開きファイルを開こうとすると「ディスクの空き容量またはメモリーが不足しているため操作を完了できません」というメッセージが表示され、"これはどうしたことだろうか"と一生懸命デフラグをやったり(約4時間かかりました)不要なファイル、プログラムを削除し、空き容量は3ギガ中1ギガに、システムリソースを70%までの空きにしたのですがどうにもなりません。インターネットは使用できるのですからまさか汚染されているとは考えも及びませんでした。27日に改めてマイクロソフト社のホームページ(MSFの画面)を見ますと、なんとNIMUDA対策が赤字で出ておりその中に「18日の23時以降にMSFに接続した顧客はNIMUDAに犯されている可能性があります」というメッセージがありました。わたしの場合はホームがMSFですのでIEを開くと自動的にMSFに行ってしまいます。確かに18日の夜中にアメリカの株式市場の動きを見ておりました。そこで、対策に従い"ウイルススター・オンラインスキャンの実行"(トレンドマイクロ社の無償提供でMSFの「対策」の中にある)に挑戦してみました。Cドライブのスキャンに約30分で検索数23,311のうち61がNIMUDAに汚染されていました。びっくりしました。ファイル名は「PE_NIMUDA.A−0」です。そこで、対策に従いやはり無償の「NIMUDA駆除・削除・修復ツール」の実行に移りました。約20分で61の汚染ファイルは削除されきれいになりました。これですべて修復され元に戻ったと思いワードを開き、いざ作業と取り組んだら前と同じメッセージが出てきて使用できません。また頭を抱えてしまいました。リカバリーCDを流しシステムをすべて入れ替えようかと思ったのですがPCに詳しい友人に相談したところ「ワードとエクセルだけ再インストールしたらどうか」と言う助言を得て実行したところ、元どおりに使用できるようになりました。これで一安心ですが、会社のPCは専門部署のファイヤー・ウオール等で守られていますが家庭で使うPCは自分で予防・駆除の対策を建てなければ為らないと痛感しソフトの購入を検討しています。ところで今、国が景気対策とIT国家を目指し市区町村単位でIT講習会を開きIT人口を増やそうとしています。確かにインターネットを楽しむ人が増えてきました。しかし、トラブルに対しての対応はありません。今回の経験を通して思ったことは、ウイルスだけでなく色々なトラブルを相談するところが身近に必要であり、ボランティア組織でやれないだろうかということです。 

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