まず先月号に引き続いて「ガン免疫療法を聞く−その2」をお送りいたします。これは6月13日東京国際フォーラムでのNPO免疫療法懇談会主催の特別講演会「過去を知り未来に生きる」についてのレポートです。ガンの表現に、「ガン」「癌」「がん」などいろいろですが原文にある表現をそのまま使わせていただいています。
 もう一つの記事は私が今年の4月から通っている「千葉県生涯大学」についてご紹介したものです。今いろいろな地方自治体で生涯学習への取組がなされていますが、その一つの例です。もし生涯学習に関心がおありでしたら、近くの市区町村の役所に聞いてみてください。きっと何かが見つかると思います。


ガン免疫療法の講演を聞く−その2

1.[医療の現場から]免疫療法への期待
 当日パネルディスカッション「ガンからの自立」のパネラーとして参加した大阪生野区の田中クリニック院長の田中善氏から寄せられた、『[医療の現場から]免疫療法への期待』との言葉をご紹介しましょう。

 最近我が国の医療の現場でも「癌の告知」が当然のごとく行われるようになりました。しかし、日本では欧米と違って、その国民性、宗教、社会環境において、その功罪相半ばするというのが現状です。
 「告知」のプラス面は、患者様に自分の病気を現実として認識していただき、外科療法(手術)、科学療法(抗癌剤)、放射線療法、さらに免疫療法を自分自身が選択する時間的余裕を持っていただくことにあります。患者様が癌と闘っていく意欲、あるいは共存していく意思をはっきり持つことにより、人生に対する積極的な希望を持つことができます。同時にそのことにより免疫力の向上が期待できます。
 「告知」のマイナス面は、手術や抗癌剤などの通常療法のみに頼る外科医が告知をして手術をしたにもかかわらず、その後の再発、転移などが起こると直ちに敗北宣言を下し、患者様の絶望感を放置したままにすることです。精神的フォローもなく患者様の人生に対する積極的な前向きな姿勢を妨げることがあります。
 このような「癌の告知」のマイナス面を少なくし、「告知」以後に私たち医師が患者様の人生に対する希望を支え続け、そのQOL(人生の質)の向上を促す治療法の一つがハスミワクチンをはじめとする免疫療法であると思います。

 先月号に書いたように私の叔父の場合はまさに手術した医師による敗北宣言と絶望感の放置でした。告知はしませんでしたが2度目の入院の後は叔父は死期を悟っており、私に病院で書いた遺言状の保管や会社においてあった私物の処分を依頼しました。24年前に今のような免疫療法があったかどうか知りませんが、もしあの時医師が患者に対する支援を続けてくれていたら気持ちの上でずいぶん救われ、延命効果があったことでしょう。またせめて私たちからでも告知をして来るべき時に備えていたら、たとえ死は免れなかったにせよ、お互いはれものに触るのを避けたような会話でなく、もっと実のある話ができ、落ちついたしみじみとした最後の日々を過ごせたのではないかと思っています。

2.ガンの免疫療法とは
 ガンの免疫療法とは何かを当日配布された米国蓮見国際研究財団理事長の蓮見賢一郎氏の書かれた資料から要約してみましょう。

@がん予防や治療に対して免疫は大切か
 がんに対する免疫療法を論じる際に大切なことは、残念ながら現在の免疫療法だけではがんを克服することは不可能に近いということです。それは免疫療法の力の限界を意味しているものでもあります。でももし身体に免疫という力がなければ、おそらく体内で発生したがんは非常に速い速度で増殖をして、その固体の命を奪ってしまうでしょう。なぜなら体内では毎日のようにがん細胞が発生しているとされているからです。しかし身体の免疫担当細胞が対応して、必死にその増殖を初期段階で食い止めています。したがって若い時代の免疫機能がしっかりしている状態ではがんになりにくく、むしろ高齢化してその力が減退してくる時期にがんの発生率も上昇してきます。そのためには年をとっても常に身体の免疫状態を若い時の状態で保つことが大切とされています。
 免疫療法の最良の使い方は、手術や制がん剤、放射線といった一般治療を優先してまずがんの縮小化を図り、その後の治療手段として免疫療法を活用することです。これにより一般治療で傷ついた身体を癒すと同時に、自己の免疫力で取り残したがん細胞を排除することの方が、短時間で、しかも確実な結果が得られるからです。
Aがんに対する免疫療法の位置づけ
 がんに対する予防や治療に関して、免疫療法の使い方は主に3段階に分けられます。まず一般のがん予防として家族歴や生活習慣に関わるがんにならないための予防、次にがんの診断がつき必要な処置が終了した段階での再発予防、そして再発した段階での免疫療法などがあります。それぞれの病期における免疫療法の内容も異なり、がんの進行に応じた治療の選択が必要になります。
Bがん免疫療法の種類
 がんに対する免疫療法も予防と治療ではその内容が異なりますが、基本的な考え方はがんが発生する初期段階での予防、がんの存在を身体の免疫機構に教える治療、その後のがんを身体から排除するための治療などに分類されます。現在世の中にある様々な免疫療法をどのように理解し使用するかが大切で、その為の知識を持つことが大切です。

 先日書店の健康図書のコーナーに初めて行ってみました。今まで縁のなかったコーナーです。ガンにかんする本がずらっと並んでおり、世の中にガンで苦しんでいる人の多さがよく分かりました。免疫療法に関する本も数多く、開いてみるといろいろな療法や薬や成分などが紹介されていました。

3.来るか「がんワクチンの時代」
 ワクチンというと「丸山ワクチン」を思い浮かべます。なぜか「丸山ワクチン」はガンの治療薬として厚生省の認可を受けられなかったのですが、患者が費用を負担する有償治験薬として特例的に供給を認められています。「丸山ワクチン」がここで述べられているがんワクチンのジャンルに入るかどうか不明ですが、インターネットで「丸山ワクチン」を探したところ大勢の患者のみなさんが利用しているのがわかりました。
 蓮見氏の「がんワクチン時代を迎えて」の記事では、免疫療法におけるがんワクチンの重要性を次のように述べています。要約してみましょう。

@がんワクチンの使命
 がんワクチンの使命は身体の免疫に対して、正常細胞とがん細胞の識別の仕方を教え、がん細胞に対する特異的な排除機構を体内に誘導することです。がんワクチンの本来の適応はがん予防にありますが、それを含めていくつかの適応に分類されます。
 ・がん化予防としての適応
 ・再発予防としての適応
 ・進行がんへの適応

Aいまなぜがんワクチンなのか
 今まではがんワクチンによって患者のがん細胞が消失しても、ほとんどの研究者はこの事実を受け入れられませんでした。すでに身体の免疫が疲弊している状態でワクチンなど行っても効果を望めないと同時に、身体自体にそのような隠された力があるとは到底信じられなかったからです。ところがある白血球の機能が明らかにされて、論理的な証明が可能になりました。1990年代になって米スタンフォード大のイングルマン教授と米ロックフェラー大のスタインマン教授により樹状細胞の機能が相次いで明確にされました。イングルマンの教室ではすでに一般の治療では効果のなくなった悪性リンパ腫の患者5例に対して樹状細胞のワクチンを用いて、3例に腫瘍の消失を経験しています。これらの事実を受けて、現在世界各国でがんワクチンの研究が盛んになり、日本でもいくつかの施設で臨床試験が行われています。

B一般の免疫治療とがんワクチンとの違い
 過去の時代からがんの免疫治療といえば、身体の免疫作用を相対的に高めるものを指しました。具体的には霊芝などの漢方薬をはじめ、アガリクスなどをを中心とする茸類に含まれるβグルカン(多糖類)による免疫増強作用が一般的です。例えて言えば一般の免疫療法はがんと戦う兵隊の増強と武装化です。一方がんワクチンは指令本部にがんと正常細胞の識別を教えることが主な役目です。
 双方の長所を併用によって生かし、結果として強いがんに対する抵抗力を獲得することが大切です。

 講演会に出席して、正直なところガンの免疫療法がどれくらい効果があるものかは明確には理解できませんでした。ただ、寿命が伸びるとともにガンによる死亡率が一層高くなっていることは、ガンが人類最大の敵の一つであることを示しています。ガンを撲滅するためには考えられる限りの手をつくさなければならないと思います。免疫療法はその中で有望な新しい試みなのかもしれません。いずれにせよ患者にとって選択肢が増えることは素晴らしいことです。医師任せにするのではなく、患者も勉強して自分の意思をはっきり伝えるべきでしょう。最近のように医療ミスが多発している現状ではなおさらのことと感じました。
 蓮見先生の講演のタイトルのように「21世紀の扉をひらく免疫療法」となって欲しいと切望しています。

千葉県生涯大学校一年生

 いま高齢者の間に学ぶことが流行しています。私も定年退職後人並みに我孫子市の社会教育ゼミナールで学んできましたが、今年の4月からそちらを卒業し千葉県生涯大学に通っています。久方ぶりの学校生活です。

1.千葉県生涯大学校とは
 千葉県生涯大学校は千葉県が運営する高齢者のための大学校です。設置の趣旨は「生涯大学校は、60歳以上の方々が、恵まれた学習環境の中で、新しい知識を身につけ、広く仲間造りを図ると共に、学習の成果を地域活動に役立てるなど社会参加による生きがいの高揚に資することを目的としています。」となっています。
 期間は2年間で福祉科、生活科、園芸科、陶芸科に分かれています。通信教育の通信過程もあります。修了すると希望者にはさらに2年間の専攻科があります。千葉県全体では5つの学園(6校舎)があり学区制になっていて、住んでいる地区ごとに通える学校が決まっています。授業料は無料です。
 通学は週1回、私の通っている東葛飾学園江戸川台校舎福祉科Aの1年生は月曜日です。午前中の授業は10時から2時間、午後は1時から2時間です。効率は良くありませんが、高齢者向けのゆったりとした日程です。夏休み、冬休み、春休みもあります。
 入学試験はありません。募集定員をオーバーすると抽選です。平成14年度の通信過程を除く一般過程は、全学で定員が1180名、応募者は2632名、入学者は1182名、平均競争率2.2倍でした。江戸川台校舎に限ると、福祉科Aは2倍、生活科Aは4倍、陶芸科はもっとも難関で11.5倍でした。私の場合は幸運にも1回で当選しましたが、何度も抽選に外れた人もいるようです。
 私がこの学校を知ったのはこの学校を卒業した何人かの先輩に強く勧められたのがきっかけです。そのときも「今は夏までは仕事があるのでかなり休む必要がありそう。あと何年かたってからにします」といったのですが、「すぐ抽選に当たるかどうか分からないから早めに申し込んだら」とのことで申し込んでみたのですが、1発で当たりました。宝くじとは大違いです。

2.友達づくりに最適の生涯大学校
 4月12日(金)千葉県文化会館大ホールで入学式が開催されました。同じ千葉県でも我が家から会場までは2時間近くかかりました。横浜に行くのと変わりません。生涯大学校の総長は堂本暁子千葉県知事です。堂本総長の式辞は「幸運な皆さん入学おめでとうございます」ではじまり、生涯大学初登場とのことでご機嫌でした。国歌斉唱があり、正面に国旗が掲揚されていて来賓の皆さんは深深と国旗にお辞儀をしてからの式辞でした。私も国民学校3年までは戦前の教育を受けたので免疫は出来ているはずですが、何となく違和感を感じました。その理由は私たち日本人がふだん国旗や国歌と関係ない生活を送っているからなのではないかと感じました。
 翌週の月曜日は江戸台校舎でオリエンテーションがありました。今年の時間割りを渡され、こまごまとした校則の説明を受けました。ちょっと驚いたのは毎回始まる前に朝礼があり、生涯大学校の校歌を全員で斉唱することです。校歌斉唱は初めは何となく気が乗らない感じでしたが、なかなか良い歌です。今では大声を張り上げて唄っています。
 福祉科Aは78名、住所をもとに7つの班に分かれ、班単位の行動が基本です。我孫子在住者を中心に11名の班となりました。当番も班単位で担当します。名刺代りに手賀沼通信を配ったためか、班長を引きうけることになりました。
 オリエンテーションで興味深かったのは、クラブ活動や同好会の代表が交代で自分たちの会の宣伝をし、必死に勧誘をしたことです。どの会も与えられた時間を大巾に超過です。クラブには、詩吟、俳句、書道(漢字)、書道(かな)、短歌、舞踊があり、同好会には、ゲートボール、ダンス、コーラス、ゴルフ、グラウンドゴルフ、民謡があります。クラブと同好会の違いは分かりませんでした。クラブや同好会に入ると親しい友達が出来るようです。私も入りたいところがあったのですが、生涯大学以外にもいろいろ首を突っ込んでおり、イベントが重なってどの会にもご迷惑をかけています。クラブや同好会に入ればますます中途半端になると思い残念ですがやめました。
 授業では班内を除くと、まだほとんど交流はありません。これからコミュニケーションを図るよう努めていく必要があるようです。

3.バラエティに富む生涯大学校の講座
 生涯大学校の講座の内容はバラエティに富んでいます。福祉科の場合、社会福祉以外に、社会生活や一般教養、健康管理や地域活動に及んでいます。講座は福祉科、生活科、陶芸科共通のものと、科ごとに違う講義とがあります。福祉科の1学期の講義は、「短歌」「高齢者の役割」「交通安全」「房総の偉人」「高齢者の福祉」「園芸に親しむ」「人間関係論」「情報社会と生活」「千葉県の国際化と文化の振興」「介護保険制度」「健康管理」「家庭介護」「消費者保護」「ボランティア活動入門」「陶芸に親しむ」「憲法」「暮らしの法律」「社会福祉協議会の活動」「高齢者の雇用と就労問題」「障害者の福祉」「絵画に親しむ」「高齢者と家族関係」などでした。これ以外にゲートボールの実習や介護実習がありました。生徒が内容を決めて実施する自主活動もありました。2学期の初めには2時間以上かけて京葉学園まで、生徒の作品展(絵画、写真、書、陶芸、手芸、短歌、俳句など)を見に行きました。
 講義の内容は聞く人によって観点や視点が違うため評価が違ってきますが、玉石混交といった感じでした。目からうろこ、さすが生涯大学という素晴らしい講義もあれば、レベルがそれほど高くなく、つまらない講義もありました。一学期の最後にクラスで話合ったときに出てきた感想や意見も大体同じ感じで、生徒の感想を学校に伝えようということになりました。生徒の聞きたいことより自分の話したいことを時間つぶしのように話すご老体の先生が何人かおられました。一般論の固い話を数字を使って淡々と話すのはお役所や公益法人の職員に多かったようです。ベテランの職員が登壇することはありませんでした。小学校や老人ホームでならふさわしいグループ作業もありました。資料もお粗末なものがありました。ただ、お世話いただいている生涯大学の職員の方や生徒から選ばれた会長はじめ役員の方は皆さん熱意に溢れ使命感一杯です。
 生涯大学の前身は昭和50年に開校した老人大学です。生涯大学になったのは平成5年です。老人大学だからお粗末な内容があってもしかたがないとは思いません。ぜひ取り入れていただきたいことは、生徒の意見を反映したコース造りと、コースごとにアンケートをとって評価を講師に伝えることです。やりっぱなしでは無責任になります。講師の選定にも競争原理を取り入れ、評判の悪い先生は次回はご遠慮いただくことが必要ではないでしょうか。学校と講師と生徒が力を合わせてより充実した生涯大学にしたいものです。
 暑かった夏休みも終わり2学期に入って学生生活も軌道に乗ってきました。9月は月曜日が2回祝日と重なったので講義が抜けましたが、いよいよ学習には絶好のシーズンです。同じ班の人達との交流や他班との意思疎通を図り充実した学園生活にしていきたいものです。1学期に仕事と重なって多かった欠席も減らさなければと感じています。

民謡尺八初舞台

 8月25日湖北公民館で開催された第7回我孫子市民謡連合会大会で尺八の伴奏の初舞台を踏みました。民謡を唄うほうは以前からやっていたのですが、尺八の伴奏は初めてでした。民謡は唄い手が唄い、おはやしが合いの手をいれ、三味線と尺八と太鼓で伴奏します。馬子唄には鈴が入ります。
 「さんさしぐれ」「舟こぎ流し唄」「関の五本松」「喜代節」の4曲を伴奏しましたが、間違えずに吹けたのは最後の一曲だけ、尺八名人が一緒でなければ唄い手の足を引っ張るところでした。自分の舞台では「相川音頭」を唄ったのですが、唄うほうがなんと楽かというのが初舞台での感想でした。
 尺八は学生時代に少しやっていましたがその後は全く離れていました。昨年秋から民謡の尺八を習い始め、今回思い切って伴奏に挑戦したのです。なかなか暗譜できず、大会前1週間は毎日2時間の特訓をしました。65歳での初舞台はあまり例がないでしょうね。

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