テキスト ボックス: 高齢者の豊かな生活のために      2000年3月20日発行   新田ライフプランニング
手 賀 沼 通 信 (第24号)     〒270-1147 千葉県我孫子市若松151-3
  (TEL&FAX:0471-83-2898) (E-mail:y-nitta@mvc.biglobe.ne.jp)             新田良昭 
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 退職してまもなく2年経ちます。現在63歳です。心身とものんびりしたペースにどっぷり漬かっているという感じです。また、あの毎日定時に出勤する生活に戻れと言われたら、相当の覚悟が必要になることでしょう。そこで今月のテーマは「退職後2年目の日々」といたします。 人の生活などあまり参考にはならないとは思うのですが、なぜか、退職者同士が久しぶりに会ったときの会話は、「いまなにをやってるの」という言葉で始まることが多いのです。多分、退職者にとっては毎日をどう過ごすかということが最大の関心事の1つであり、人の話から何かいいヒントが得られないだろうかと期待するためなのでしょう。なかには他人の生活と自分の生活を比べて、「俺のほうがうまくやっているワイ」という自己満足に浸りたいという人もいるのかもしれません。
 私の場合もごくありふれた生活ですが、現役の方には退職後の生活設計の反面教師になるかもしれません。

 なお、「手賀沼通信」も昨年の9月以来、半年ぶりに本来のサイズ(メールはB5版、紙の場合はB4版)に戻ることができました。A4版(紙はA3版)は、寄稿文があるときはいいのですが、自分だけの文章で埋めるのはかなりのエネルギーを要します。


退職後2年目の日々

1.パソコンに感謝

 毎日の起床時間は5時〜7時です。夏は午前5時頃、冬は寒いのと暗いので大体7時頃です。初夏から初秋にかけては朝食前に1時間くらい散歩をしていましたが、冬の間は散歩は暖かくなってから出かけます。
 外出の必要がないときは、以前はいつも大急ぎですませていた朝食を、テレビと新聞を見ながら一人で時間をかけてとり、その後はまずパソコンの前に座ってメールを開きます。将来SOHOが普及してくるとこんなサラリーマンが増えてくるかもしれません。毎日数通のメールが入っています。手賀沼通信を出した直後は多くなります。返事が必要なときはできるだけその場で書くようにしています。はがきや封書ですと書くのにそれなりの覚悟が必要でしたが、電子メールは気楽に書けます。
 平日は日経BP社から日経ビズテックが入っています。これは特に通信やコンピュータなどを中心としたビジネスに関する最新の情報が1件あたり数行にまとめられ、詳しいことはそこに出ているサイトにアクセスすればよいという便利な無料のメールです。以前は面白がって色々な無料メールの配信を申し込んでいましたが、あまりにわずらわしいので中止し、その後もなるべく避けるようにしています。
 何か知りたいことが出てくると、インターネットにアクセスします。「イミダス」や「知恵蔵」を見るより、インターネットを利用するほうが多くなりました。インターネットのいいところは写真や図形の入った詳細な情報が得られるということと、情報がアップデイトされることです。例えば海外旅行に行くときは現地の天気予報やホテルの詳細な情報が得られます。
 家内も私以上にインターネットを使っています。父親の食事の世話で外に出る機会が少ないため、電子メールで友人とメールのやり取りをしたり、インターネットでサークル活動や買い物をしたりしています。毎日1〜2時間見ており、電話代はそれ以前の2倍に増えましたが、効果は抜群、ストレス解消にもなっているようです。

 最近インターネットによる株式投資が話題になっています。試しにやってみましたが確かに手軽で便利です。自分の判断が全て自分の責任になって跳ね返ってきます。でも自分で決めたことだと納得がいきます。証券会社のセールスを恨むことはなくなります。また手数料も安くなります。いずれ資産運用について書くとき、インターネット取引にも触れてみたいと考えています。
 最近パソコンについて高齢者や女性から相談を受けます。何を買ったらいいか、インターネットの接続はどうするか、メールが送れないが何がおかしいかなどです。知らない人から突然電話がかかって来たりします。新田ライフプランニングの本業のほうはさっぱりですが、パソコン相談は結構あります。東京都中推協のパソコン教室のお手伝いや我孫子中学(こちらはまだ見習い中)のお手伝いなども経験しました。
 そんなことから高齢者や女性にパソコンが浸透しているのを実感しています。情報を受け取るのも、発信するのもパソコンを使っている人とそうでない人の差はますます広がるような気がします。今の生活はパソコンなしには考えられません。若い人の携帯電話みたいなものです。パソコン万歳です。

2.広がる人のネットワーク

 この1年間で新しく多くの方と知り合いになりました。多分現役時代の1年間よりこの1年間のほうがネットワークの輪は広がったのではないかと思います。特に地元の我孫子市の人とのふれあいの場が増えました。2年目となった高齢者福祉について学ぶ「社会教育ゼミ」、留学生との交流の「国際交流協会」、近辺を歩く「ふれあい手賀沼の会」、パソコンでボランティの情報交換をする「マチネット」などです。我孫子市の町づくりの会議にも出席しました。違った会で同じ人とよく顔を合わせます。家内の言では「出たがり屋はどこにでも顔を出すのよ」とのことですが、私は「こういう人がいないと世の中がよくならないんだ」と主張しています。

 「東京都中推協」では会報作成のお手伝いをしています。「日本中高年生きがいづくり協会」や「JLC社労士会」の集まりにもときどき出席します。週末にイベントが重なるため趣味の会である民謡の「愛友会」や「東京ハイキングクラブ」への出席が少なくなってしまいました。
 春から秋にかけては日本研修サービスでの新入社員研修のお手伝いで多くのインストラクターや新入社員に接しました。

 面白いのは、この年齢になると人恋しくなるのか、松山南高校、一橋大学、三井生命、日本アイ・ビー・エムなどの同級生や同僚などの集まりが、以前より頻繁に開催され、しかも出席率がよくなることです。特にアイ・ビー・エムは、集まるのが好きな連中が多く、いろいろな名目で会を結成し人集めをしたがります。ありがたいことです。
 ネットワークの広がりには「手賀沼通信」も一役買っています。一人新聞の先輩の三好さんは、名刺は持たず、「土佐一人新聞」を初対面の人に名刺代わりに差し上げるとのことですが、私の場合はそこまでの度胸はありません。それでも、退職の挨拶状をいただいたり、顔見知りになったりしたときには、手賀沼通信をお送りしています。感想をお送りいただいた方は、次回から新しく読者に登録です。
 この1年間に短い海外旅行を3回しました。中国、シンガポール・マレーシア、タイの3箇所です(タイは2月下旬に行ってきたばかりでいずれ通信に書きます)。いずれも格安のパック旅行に一人で参加したのですが、そこでも気の置けない友人ができました。タイ旅行は、シンガポール・マレーシア旅行で知り合った、牛久のうなぎ屋のご主人とご一緒させていただきました。

3.静かな家庭生活

 昨年の冬には、同居している89歳の家内の父が転んで大怪我をし、老人介護の始まりかと心配しましたが、年齢のわりには驚異的な回復力で盆栽の世話ができるまでになりました。杖や手押し車で散歩したり、バスに乗って医者に通ったりしています。介護保険の認定を受ければ「自立」となるのは間違いありません。
 近くに住んでいる娘が週に1回くらい3歳になった孫を連れて遊びに来ます。3月末か4月始めには2人目の孫が生まれます。そのときはしばらく我が家で過ごすことになるので4世代家族となります。
 平均すると週に2回くらい夕食を作ります。先日は7日連続で料理を作ったこともありました。最初のうちは男性料理教室で学んだものを作っていましたが、だんだん自分で食べたいものが中心となってきました。家内には「手抜き」と皮肉られますが、義父も喜んで食べてくれます。
 毎日一万歩あるくことを心がけています。昨年は年間約394万歩、距離にすると約2500キロ歩きました。1日平均1万800歩ほどになります。1万歩だと1時間30分くらいかかります。出かけるときも万歩計をつけて出来るだけ歩きます。駅の階段ではエスカレーターは使いません。出かけないときは散歩や買い物で歩きます。散歩のときはラジオの英会話講座を録音したテープを聞きながら歩きますが、1年間続けたわりには進歩がありません。車にはほとんど乗らなくなりました。勤めているときより体調はいいように思います。
 憧れの四国八十八ヶ所歩き遍路にはまだ行けそうにありません。この1年で「手賀沼通信」読者の2人の方に先を越されました。1人は歩き遍路で、もう1人はバスでです。3人目の方も2回にわけて1番から23番までの徳島県のお寺を歩いています。先日読売新聞で、野田の方が夫婦2人で2度八十八ヶ所の歩き遍路をしたあと、ご主人が交通事故でなくなられたため、ご主人が書いた旅日記を自費出版したとの記事を見ました。早速奥様にコンタクトを取りその旅日記をわけていただきました。素晴らしい内容の本でした。私もなるべく早く目標を達成したいと思っています。

4.2年目の「手賀沼通信」

 手賀沼通信も今月で24号となりました。発刊以来ちょうど2年経過することになります。最初は1年も続けられればと思っていたのですが、書くことがだんだん面白くなりもうしばらくは続けられそうです。
 でもこれは多くの方のサポートに支えられた結果だと感謝しております。7人の方に原稿をいただきました。そのうちの1人の方は2度書いてくださいました。いずれも体験に基づいた説得力のある内容で、読者の多くの方から感銘を受けたとのコメントをいただいております。人間一人の体験など知れたものです。いろいろな方のさまざまな体験をお伝えすることで紙面が生きてくると思います。これからも多くの方の貴重な体験談をお待ちしています。
 また、多くの読者の方から、貴重な感想やご意見をいただきました。その上、色々なご配慮をいただきまことに申し訳ありません。紙面を借りて厚くお礼申し上げます。

 発行部数も増えました。最初は全部で70名くらいの方にお送りしていましたが、今は電子メールの方が約100名、コンビニでコピーする枚数が100枚、それ以外に他の方にコピーをとっていただいたり、「日本中高年生きがいづくり協会」の会報と一緒に送っていただいたりしています。また、大学の恒友会のホームページからリンクしていただきインターネットでも見られるようになりました。ただ、封筒に入れて郵送でお送りする方の人数は第1号に比べると多少減りました。途中どんどん配布先が増えたため、申し訳ないと思いながら一部の方への発送を止めさせていただきました。減った最大の原因は封書でお送りしていた多くの方が電子メールで受け取れるようになったことです。大変ありがたく思っています。電子メールでお送りする方と直接手でお渡しする方は大幅に増えました。
 電子メールの良いところは、何人の方に送ってもクリック一つですむことです。ところが受け取る方はそれぞれ受信料を払っています。ジャンクメールが増える原因は送るほうに負担がなく、送られるほうが負担するためだそうで、ダイレクトメールとは大違いです。アメリカあたりでは最近はメールアドレスは簡単に教えないほうがいいなどともいわれています。手賀沼通信をお送りしている方も、もし読めないとか要らないという方はお申し出下さい。送信を中止させていただきます。
 電子メールのもう一つの良いところは、原稿をいただく場合、こちらで改めてインプットする必要がないことです。編集者にとっては本当に楽です。また感想やご意見も電子メールの方のほうが気楽に送っていただけるようです。自分のことを考えても封書や葉書で出すとなるとつい構えてしまいます。

 感想やご意見で大変興味深く感じたのは、気軽に発信するかどうかに企業文化が存在するのではないかということです。私の場合、退職するまでに3つの会社に勤めました。「手賀沼通信」も3つの会社の退職者や現役の方にお送りしています。そのうちの1社の方は、多くの方がコメントを返してくれますが、他の2社の方はほとんど連絡がありません。そのうちの1社の2人の方は、丁重なはがきや電話で激励くださるのですが、おふたりともかなりのお歳になって他の会社から転籍された方なのです。企業文化がこんなところにもあるのかと再認識いたしました。
 これからもご自分の経験にもとづいたお話を、テーマは何でも結構ですから、お送りくださるようお願いいたします。また感想やご意見もお寄せ下さい。

5.3年目にむけて

 退職生活2年目を振り返ってみると、いろいろ反省点が出てきます。3年目は反省点を踏まえて軸足をしっかりする必要があると感じています。

 反省点の一つは、これからの人生を大きな目標を定めてそれに打ち込むか、それとも今のように自分の時間を好きなことに使うかにまだ迷っているということです。
 高齢者の豊かな生活のために何かやってみようと新田ライフプランニングを発足させたのですが、社会保険労務士の登録をして社労士として出発するか、登録はせず資格取得で学んだことをベースに幅広く活動するかはまだ結論を出せていません。登録の書類は取り寄せたのですが、登録手数料2万円、入会金7万4千円、年会費9万4千円と決して安くはありません。また、今から社労士として身を立てるには、他を犠牲にして相当の時間を使う必要があります。しかも時間を使ったからといって顧客がつくかどうかは別問題です。したがって、とても今のように好きなことに自分の時間を使っていると社労士の仕事はやりきれません。
 おそらく社労士業に登録するとしたら今年が最後の年と感じています。

 二つ目は、自分の時間を自由に使うにしろ、いろいろ手を広げすぎて中途半端になっているということです。幾つかの会で世話役や役員になるよう依頼されましたが、それだけの時間が割けるかどうかわからないためいくつかお断りしました。
 人のお役に立つには、もっとやることを整理して責任ある仕事ができるような状態にする必要があると感じています。

 三つ目は、もう少し家に落ち着いて家族との会話を心がける必要があるのではないかということです。濡れ落ち葉や粗大ゴミになるよりはましかもしれませんが、大きな反省点です。

 そして四つ目はもっと読書の時間をとるようにすることです。最近読書量が減っています。自分の時間はあるはずなのに現役時代よりもすくないのです。毎日の生活を見直す必要があるようです。

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