テキスト ボックス: 高齢者の豊かな生活のために      2001年4月20日発行   新田ライフプランニング
手 賀 沼 通 信 (第37号)     〒270-1147 千葉県我孫子市若松151-3
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 今月は恒例にしたがって退職後のこの1年の生活を振り返ってみたいと思います。毎回この記事を書くたびに他人の生活など面白くもないテーマで後ろめたい感じで一杯すが、1年を振りかえってみないとなんとなくこの1年が終わった気がしないのです。それに退職のおはがきをいただいた方に多少でもお役に立てるのではないかと勝手に思いこんでいます。申し訳ありませんがお付き合いください。
 退職後まる3年、1月で64歳となりました。そこで今月のテーマは「3年目の退職生活」としましょう。昨年3月に「退職後2年目の日々」を書いたとき、「あの毎日定時に出勤する生活に戻れと言われたら、相当の覚悟が必要になることでしょう」と記しています。ところが3月末まででしたがその定時に出勤する生活に戻りました。そしてその生活を結構楽しみました。人は環境によって変わるものですね。


3年目の退職生活

1.仕事をしたこの1年

 退職生活といいながらこの1年は結構働きました。日記を見てみると、日本アイ・ビー・エム研修サービスでとびとびで合計46日間、MLIで週4日で91日、合計137日間働きました。普通のサラリーマンの年間労働日が休日や有給休暇を引くと大体230日前後ですから、サラリーマンの勤務日の6割近く働いたことになります。多くの人から週3日くらい働けたらいいねと聞きますが、日数的にはその数字に近いものとなりました。

 日本アイビーエム研修サービスでの仕事は新入社員研修のお手伝いです。46日間のうち半分以上はクラスマネージャー(CM)としてクラスの運営と生徒の評価などの仕事でした。CMの仕事の期間は朝6時前に家を出て7時30分くらいに会社につき、退社は大体夕方6時頃でした。私は朝早いのは平気ですが、夜遅くまで仕事をするのは苦手です。朝7時30分というと、正社員もまだ出勤していません。いつも部屋の鍵を開けて入っていました。朝早く出勤するといくつかのメリットがあります。電車は空いているし、夏は涼しいうちに着けます。CMの仕事は夏の間でしたので早朝出勤を続けたのです。
 CMは勤務時間は長いのですが、他のインストラクターのレクチャー中や生徒の演習中は息が抜けますし、受講生とのふれあいもあり、受講生の成長を感じることもできるやりがいのある仕事でした。
 残りはロールプレイでお客様役や上司の役になって、生徒の話を聞き、評価をする仕事です。ほとんどは朝9時から5時頃までで、コースによっては半日という場合もあります。拘束時間は短いのですが、時間がきっちり決められており、途中休憩を取る時間はほとんどありません。15分間で4人の生徒の点数をつけ、良い点と改善点を記入するという早業が要求されます。かなり集中力のいる仕事でした。
 研修のお手伝いは8月で終わりました。9月から10月の半ばまではシドニーオリンピックのテレビ観戦と韓国旅行でのんびりし、10月16日から週4日、柏のMLIに通いました。

 MLIは三井生命と日本・アイ・ビーエムの出資で2000年10月に設立されたコンピュータシステムの開発運用のアウトソーシング会社です。そこで10月半ばから3月末まで働く事になったのです。私は日本アイ・ビー・エムに転職する前は三井生命に勤めていました。その頃の同僚はみんな定年退職でいなくなりましたが、何人かの後輩が残っており、比較的楽にとけこむ事が出来ました。仕事は社員のスキル管理システムの確立と研修システムの計画でした。新しく作り上げる仕事が大半で、いろいろ検討項目が多く、なかなか当初たてたスケジュール通りに進まないじれったい思いをしました。これは総務部の他の人も同じで、皆さん大変な苦労をされていました。いわば産みの苦しみです。結果的には予定していた仕事の一部をやり残してしまいましたが,充実した毎日だったと思います。 退職前にアコムでやっていた仕事と比べると、退職後のほうがどちらの会社でも大変密度の濃い仕事内容で、137日とはいえ、まるまる1年間働いたような感じがしています。
 そのため交流会や勉強会の多くの仲間に大変な迷惑をかけてしまいました。退職者ということで、理事や世話役を引きうけていたのですが、MLIで休みの水曜日以外の会合にはほとんど出られなくなってしまいました。あらためてお詫びいたします。
 今年もまた新入社員研修のシーズンがやってきます。仕事と退職後の生活のバランスをとりながら、体力と気力の続くうちは、仕事を続けたいと思っています。いろいろお膳立てしたMLIの新入社員に研修の場で会えるのを楽しみにしています。

2.青色申告に挑戦

 仕事をすると大した額ではありませんが収入があります。給与ではなく業務委託契約の代金とか単なる報酬の形で入ってきます。そのまま申告すると雑所得になります。年金と同じ所得です。ところが年金と違ってこの雑所得は収入にまるまる税金がかかってきます。経費で落とせるのは直接かかった交通費くらいです。サラリーマンのとき給与所得はガラス張りで税金がきっちりとられるのに憤慨していましたが、雑所得を申告するようになって給与所得控除が結構大きいということに気がつきました。

 退職後1年目の申告はそのまま雑所得で申告し、アルバイト収入の20パーセント近くを税金でもっていかれました。これでは大変と2年目は自営業の登録をし、青色申告をしました。自営業の届をすると、費用として計上できる項目が増えます。また青色申告をすると、10万円が控除できます。さらに複式簿記の原則にしたがって帳簿をつけ、貸借対照表をつくると55万円までが控除できるのです。昨年は正規の帳簿をつけなかったため控除は10万円でしたが、今年は55万円の控除に挑戦しました。
 そのために現金出納帳、経費帳、預金出納帳、事業収入支出帳、事業主貸借帳をつけています。一般の事業の場合はこれ以外に売掛帳、買掛帳、固定資産台帳も必要ですが、私の場合は現金収支だけですし、仕事に車は使わないのでこの3つの帳簿は省略しています。それでも例えばノートを買ったときでも3つの帳簿をつける必要があります。油断するとすぐ合わなくなります。そのための便利なソフトがあるようですが,それほどの稼ぎでもないのでエクセルで帳簿を作成し自前でつけました。そして我孫子商工会館で柏青色申告会我孫子支部の記帳指導を受け、ルールどうりに記帳しているかチェックしてもらっています。簿記の本を買って何十年ぶりかで勉強もしました。申告しないと脱税になりますが、ルールに沿って節税するのは生活の知恵です。

 今年は研修の仕事で一緒になった友人から、小規模企業共済制度というのを聞きました。これは月払いあるいは年払いで一定の額を積み立てると、個人事業主または小規模企業の役員が廃業または退職したとき、積立金と利子が支払われるという制度です。利子は銀行預金の10倍くらい良い上に、積み立てた額(上限は月額7万円)が所得より控除できるのです。年額にすると最高84万円が控除できます。今年からこの制度を利用することにしましたが、タイミング悪くKSDの事件が発覚しました。KSDの事件が報道された時には、小規模共済制度も同じ穴の狢で危ないのではないかと心配でした。青色申告会に問い合わせたところ,税務署が認めている国の制度だから大丈夫といわれました。KSDも国会議員や労働省の後ろ盾があったことから、小規模共済制度についてもまだ半信半疑ですが乗りかけた船と腹をくくっています。
 2月中に一応確定申告をすませほっとしているところです。

3.自治会役員を引きうける

 私の住んでいる町は30数年前手賀沼を埋めたてて作った住宅団地です。その中に自治会が2つあり、私のところは420世帯ほどの自治会です。アパートはありますが、大通りに面したところ以外は高い建物が立てられないので、ほとんどが1戸建ての静かな住宅地です。私は17年前に引っ越してきたのですが、最初から住んでいる人も多く、若松という地名に反して高齢化が進んだ町になっています。65歳以上の人の占める高齢化率が24.2%と我孫子市の平均13.3%を大きく上回り、日本1の高齢化県の島根県と同じくらいの老人の町になっています。

 その町で今年とうとう自治会の役員を引きうけざるを得なくなったのです。役員は退職して暇そうな60歳台の人にまわってくることになっているようです。役員は6名、任期は1年で原則再任はありません。つまり交代で1回は務めなければならないことになっています。
 最初の会合で会長ほか役員の役割を決めたのですが、パソコンを使っている人がいない感じだったので、書記を引き受けました。メンバーは書記のほかに、会長、ゴミや街路灯など環境問題担当の副会長、総務担当の副会長、会計、会計監査の6名です。
 書記の役目は会合の議事録をとることなどですが、一番手間と時間のかかるのは回覧物を14名の各班の幹事のところに持っていく仕事です。自治会専用の建物がないため、回覧物は書記が幹事に配って歩くようになっています。幹事は回覧板にそれをセットし、会員に回します。会員は見た後はんこを押して次に回します。回覧に要するみんなのエネルギーは大変なものです。そんなことから回覧は会員の安全、災害防止、環境整備、福祉などに絞るように決めました。ところがこの住民の情報のライフラインというべき回覧網にいろいろ悪乗りがあるのです。新聞の折込にするとお金がかかりますが、回覧網はただです。私が担当するようになって、私的な依頼はすべて断りました。ところが民間だけでなく公的機関が堂々と回覧網を濫用してくるのに驚くと共に憤りを感じました。特に社会福祉協議会の無駄と甘えの体質には驚きを禁じえませんでした。

 社会福祉協議会は市の委嘱を受けていろいろ福祉に関することを行っています。市民のためになる事も多いのですが、やり方がイージーなのです。
 社会福祉協議会は次のようにさまざまな寄付金を自治会に請求してきます。

 ・赤い羽根   16万円
 ・歳末助け合い 4万8千円
 ・福祉バザール 5千円
 ・会費     8万円

 なぜ自治会が社協に会費を払うのかもわかりません。また本来寄付金は個人で払うものです。それを自治会に毎年一括して払えというのは寄付金の本質から外れています。安易に社会福祉協議会が、「毎年寄付してもらっているから」というだけで自治会に頼ってくるのはおかしな話です。
 また社協で出している印刷物の回覧や配布についても理解しがたいものが送られてきます。9月に「ボランティアニュース」というのが420世帯分届きました。8ページの多色刷りの印刷物で重さは10キロあります。内容といえば我孫子市のボランティアセンターの活動報告で、多分読む人は少なく、たとえ読んだとしてもすぐ捨ててしまうような内容です。せいぜい回覧すれば良いもので1戸ずつ配るようなものではありません。6月には「結婚相談」の回覧がきました。10月には一括納入した赤い羽根の募金に対して、420本の赤い羽根と420枚の領収書が送られてきました。一括納付に各戸に領収書を配れというのはどんな頭をしているのでしょう。
 あまりのことに、社協の会長とボランティアセンター長宛に「社協は自治会の回覧網を乱用するな」「経費節減の努力を」という内容に改善案を加えた手紙を持参しました。ボランティアニュースも回覧分だけ抜いて返しにいきました。残念ながら会長が不在だったため、抗議の手紙を引き渡すだけになりましたが、社協からはなしのつぶてでした。
 KSDでもわかりますが、今の日本の社会福祉団体にはお粗末なところが多いようです。社協がすべてそうというつもりはありませんが、やり方に工夫がないのです。今までの慣例とか、面倒だから変えないとか、変革の意欲は感じられません。

 1年の自治会役員のおつとめもまもなく終わろうとしています。しかしやってみて良いことも一杯ありました。地元の人との交流も生まれましたし、町の抱えている問題も多少わかるようになりました。たとえば一番身近で切実な問題は、高齢化のため、朝早く重い道具を決められた日に所定の場所へもっていくという資源ゴミの当番の問題です。我孫子市は全国でも有数の分別回収が徹底している市ですが、住民の協力がそれだけ要求されます。また迷惑駐車の問題や騒音やペットの問題など住民同士で気をつけなければならない問題なども理解できるようになりました。終わってほっとすると同時に勉強になった1年でした。 

4.3年目の手賀沼通信

 「手賀沼通信」も皆様の暖かい励ましのおかげで無事3年目を終えることができました。ありがとうございます。
 読者の人数も昨年の約200名から約260名に増えました。これに日本中高年生きがいづくり協会でお送りいただいている読者の数を加えると約300名近くの方にお読みいただいていることになります。OAショップでコピーする枚数は100枚と変わらないのですが、電子メールの送付先が100名から160数名に増えました。10月に読売新聞の千葉板で紹介されたのが、発行部数が増えた大きな原因でした。この時約50人の方が新たに読者になってくださいました。マスコミの力の大きさを改めて感じました。

 またこの1年も5人の方から原稿を頂戴しました。有難うございました。
 情報発信をしていると他の方からも新聞や通信や著書などをいただきます。この1年間で定期発行のものを10人の方から、本を4人の方からいただきました。定期的にいただくものには、毎週メールで入ってくるもの、印刷物からメールに変わったもの,印刷物で送られてくるものなどいろいろあります。内容も、趣味を題材にして手書きでしっとりとした味のあるもの、インドネシアに特化して毎月出しているもの、自分の農業生活をベースにして世相を論評するもの,主催する会のニュースとして会員に発行しているものなど多彩です。発信者の住まいも我孫子や柏の地元から、千葉県、東京都、高知県、宮崎県にわたっています。月刊が多いのですが、週刊もあり、なかには第1号は出たけれどその後がなかなか出てこない新聞もあります。
 いただいた本には、今年の日本詩人クラブ新人賞を受賞された詩集、読経するお経と信念を経本の形でまとめられたもの、主催したり所属する会の記念文集などがありました。
 いずれ別の機会に詳しくご紹介したいと思います。

 ところでこの3年間の「手賀沼通信」の記事の内容を整理してみました。「高齢者の豊かな生活のために」というねらいにあわせて体験談を中心に書いたつもりですがそうでないものもあるようです。
 2度以上取り上げたテーマを多い順に並べてみると、コンピュータやパソコン関連6回、年金4回、健康4回、セミナー4回、海外旅行4回、株主総会3回、介護施設見学3回、退職生活2回、国内旅行2回、厚生白書2回、新入社員研修2回、老人問題2回、料理・酒2回、司馬遼太郎2回、本の紹介2回、会員募集2回、20世紀2回などです。葬儀、ウォーキング、資格取得、21世紀、町づくり、裁判所見学、英語勉強、石原知事祝賀会、ハローワーク、開業、軽自動車などは1回ずつ話題にしました。

 これ以外に延べ17人の方からご意見をいただきました。話題も大変バラエティに富んでいました。考えさせられるご意見、参考になるご意見ばかりでした。
 私の書くのはだんだんネタ切れの感じがしています。通信の内容をより良いものとするため皆様のご寄稿をお待ちしております。

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