テキスト ボックス: 高齢者の豊かな生活のために                       1998年8月20日発行
手 賀 沼 通 信 (第5号)      〒270-1147 千葉県我孫子市若松151-3
  (TEL&FAX:0471-83-2898) (E-mail:y-nitta@mvc.biglobe.ne.jp)             新田良昭

  手賀沼通信第5号は、まず老人介護についての話題を取り上げます。
  「皆さんのうち、2人に1人は間違いなくボケます。」これは出席者の大半を高齢者が占めていたあるセミナーでの厚生省高齢者介護対策本部事務局次長の言葉です。たしかに私と家内の両親についていえば、なくなった3人の内2人が最後にはボケの状態でした。長生きする人ほどしたがって女性ほどその確率は高くなるそうです。
  また、ボケないにしても寝たきりになる可能性もあります。いろいろ問題のある介護保険も平成124月からスタートします。これからますます切実となる老人介護の問題について学んだことをご紹介しましょう。これは自分自身の問題でもあるのです。


老人介護について学んだこと

1.高齢者福祉サービスにはどんなものがあるか

  手賀沼通信第1号にも書きましたが、4月から我孫子市の社会教育ゼミナール「高齢者福祉基礎コース」で、月2回、合計22回にわたって高齢者福祉について勉強しています。このコースを卒業すると、翌年度からは5つのコースに分かれてそれぞれ福祉の専門的な分野を学ぶことになっています。

  そこで我孫子市の諸制度、諸施設についての説明がありました。高齢者福祉については地方自治体によってかなり差があります。テレビや新聞でよく老人の住みやすい市町村が取り上げられたりしますが、我孫子市はほぼ中間くらいのサービス状況だそうです。

  高齢者福祉サービスと老人福祉施設にどんなものがあるか、我孫子市の例を参考に紹介いたします。

在宅保健・福祉サービス

・ホームヘルパー派遣

  虚弱な一人暮らしの高齢者や介護が必要な高齢者世帯に対しホームヘルパーを派遣し身体の介護,家事、相談や助言を行います。24時間対応です。

・デイサービス

  在宅で虚弱な高齢者を1日施設の車で送り迎えして預かり、入浴、食事、機能回復訓練などのサービスを提供。その間在宅介護者が介護作業から開放される効果もあります。

・ショートステイ、ミドルステイ

  介護者の病気とか旅行などの家庭の事情により、介護者が介護できなくなった時、1週間から1ヵ月程度施設で預かり、介護するサービスです。

・配食サービス

  一人暮らしなどで自分で食事が作れない高齢者に対し夕食を配食するサービス。配食にはボランティアが協力しています。

・入浴サービス

  自宅で入浴が困難な高齢者をお風呂に入れるサービスで、車で施設に運んで入浴させる方法と入浴カーが自宅を訪問する方法とがあります。

・SOSネットワーク

  痴呆の高齢者が徘徊した時に、特徴を書いた発見依頼書を協力団体にFAXし、早く発見しようとするシステムで、コンビニなども協力団体になっています。8月からは衛星を使った全国初のシステムが実験段階に入ります。

その他、寝具乾燥消毒サービス、保健婦の訪問指導、住宅改造費助成、高齢者日常生活用具給付、理髪サービス、ねたきり高齢者見舞い品支給、床ずれ防止用エアー発生器貸与、紙おむつ補助、老人福祉電話設置、お元気コールなどのサービスがあります。

老人福祉施設

・特別養護老人ホーム

  身体上または精神上著しい障害があるために、常時介護を必要とするにもかかわらず、在宅介護が困難な高齢者を入居させ介護する施設です。

・老人福祉センター

  高齢者が健康で明るい生活を送れるよう、健康の増進、教養の向上、レクリェーションなどに利用できる施設です。

・経費老人ホーム・ケアハウス

  家庭環境、住宅事情等の理由により、自宅で生活することが困難な主として低所得の高齢者が入居する施設。個室のためプライバシーも守られ普通の生活ができます。(我孫子市内にはありません)

その他、養護老人ホーム、痴呆性老人のためのグループホームなどがあります。

2.特別養護老人ホーム「和楽園」訪問記

  高齢者福祉基礎コースでは今までは福祉の仕事に携わっている方の話を我孫子市の公民館の教室で聞く形で勉強してきましたが、7月1日()、初めてのフィールドワークとして、特別養護老人ホーム「和楽園」を訪問するチャンスをいただきました。

  和楽園は我孫子市の市街地からは離れた利根川に近い緑豊かな場所にあります。環境は申し分ありませんが、家族がたずねるには最寄りの駅から歩いて20分、車で5分の場所ですのでやや不便かなと感じました。収容人員50名、鉄筋コンクリート平屋建てのスマートな建物です。平屋建てにしているのは、火事などの緊急時の避難を考えてということでした。土地の高い場所ならもったいない話です。

  園内を見て回る前に、食堂で女性の施設長さんから簡単な説明がありました。入居者は常時介護を必要とし、かつ在宅において介護を受けることが困難な、原則として65歳以上のおとしよりです。ボケている場合と身体の運動機能が衰えている場合とがあるようです。全員車椅子は必需品のようでした。園では、特別養護老人ホームとしてのサービスのほかに、ショートステイ、デイサービス、家庭での寝たきり老人の搬送入浴サービス、高齢者身障者への配食サービスがあるとのことでした。我孫子市の場合入所待ちは3ヵ所の特別養護老人ホームあわせて60〜70名、通常数ヶ月待つようです。それでも東京の場合に比べると、待機期間は少ないとのことでした。

  その後各部屋を見て回りました。1部屋に4人でベッドと机があります。病院に比べると広くゆったりしていますが、プライバシーにはかなり制約がある感じです。でも今まで抱いていた特別養護老人ホームのイメージとは違って、廊下、居室、食堂など清掃が行き届いており、とても清潔でした。職員は35名とのことで、入居者の数からすると多いなと感じましたが、24時間体制ということと他のサービスを提供していることを考えると、それでも足りないのかもしれません。

  見学の前にいわれたことは、声を掛ける時には「おじいちゃん」「おばあちゃん」という言葉を使わないで、「○○さん」と呼ぶようにとのことでした。ちょっとしたことがおとしよりの心をきずつけるようです。私たちは、1回分の研修時間を使って針仕事でティッシュペーパー入れを作り(私にとっては死ぬ思い)、当日お土産として1人1人に手渡しました。大変喜んでいただけました。外部からいろいろな人が訪問することはいい刺激になるようです。入居者の1人が、「手賀沼音頭」を作詞し、曲をつけてもらったとのこと。園の夏のイベントで踊ることになっているようです。私も民謡をやっているので職員の方に我孫子市の民謡連合会にその曲を紹介することを約束しました。

  私たちの老後は今までと違っていろいろな選択肢があります。これまでは最後は子供に頼る場合が多かったと思いますが、今は動ける間はできるだけ夫婦2人かまたは1人で頑張り、その後は在宅介護か、老人ホームか、病院かということになるケースになるのでしょうか。在宅介護の場合は配偶者や子供の手をわずらわせますが、多くの人が望むことでもあるようです。老人ホームは高級有料老人ホームから特別養護老人ホームまでありそれぞれ必要なお金も異なります。ぎりぎりまで元気でいて自分たちで生活し、死ぬ直前に病院へ入院ということもあります。介護保険がはじまると自分で選ぶ選択肢が増えることになるようです。

  最後は暗い話になりましたが、避けて通れないことです。前もって家族と話し合っておくことが重要だと思います。

原水爆禁止のために歩く

  723()、「’98核兵器廃絶国民平和大行進」に参加し、我孫子市内を湖北駅からつくし野公園まで、休憩と昼食の2時間を入れて約6時間半ばかり夏空の下を歩きました。これは毎年、8月に広島で行われている原水爆禁止世界大会にむけて、北海道から広島まで日本国内を縦断して、全長8000キロを核兵器廃絶を訴えながら歩く大行進で、オリンピック開催前に行われる聖火リレーのようなものです。今年は40回目の行進で、昨年は全国で10万人もの参加者がいたそうです。おそらく今年はインドやパキスタンで核実験があったため、参加者は大幅に増えるのではないでしょうか。

  行進は59日に北海道の礼文島を出発し、713日に茨城県から千葉県佐原市に入り、千葉県内400キロを歩いて727日には市川市より東京に入る予定とのことです。残りの日数からするととても広島まで歩き継ぐのは不可能ですから、多分東京広島間は、同時に歩いているのでしょう。

  参加者は朝915分に成田線湖北駅に集合しました。前夜の激しい雨も上がり、時々薄日の差す絶好の行進日和です。70歳代から高校生まで約80名、女性がやや多く主力はやはり元気一杯の中高年の女性で占められています。団体での参加者が多く、私のような個人での参加はごく少なく数人しかいないようでした。

  出発前に実行委員から簡単な説明と注意があり、我孫子市の助役から激励の言葉がありました。行進は女性のスピーカーを乗せたバンが先頭を行き、その後を核廃絶を訴える横断幕や旗を持った人が続きます。私たちは後ろの方を2列になって歩きました。歩くのは車が先頭ですから、交通量の多いところでは歩道を歩きましたがほとんど車道です。行進の間中、スピーカーは核廃絶を訴えつづけ、係員の方はチラシを歩道を行く人々に配ったり、道端の家々のポストに入れたりしていました。最近は駅や街頭ではチラシを受け取る人は少ないのですが、行進が目に入るせいか、ほとんどの人がチラシを受け取ってくれたようです。

  歩き始めてすぐ、薄曇りの空は夏の強い日差しに変わりました。4ヵ所で休憩をとりましたが、麦茶とスイカがとても美味しく、お昼のおにぎりもほとんどの参加者が残さず食べていたようです。午後4時に無事つくし野公園に到着、翌日行進する柏市の代表者に旗を引き継いで終了しました。

  私が平和大行進に参加したのは今回が始めてです。はっきり言ってサラリーマンの間は、このような市民運動にはあまり関心がありませんでした。しかし最近自由な時間が持てたためか、あるいは孫が生まれたせいか、世の中をよくするために少しでも何かしなければと考えるようになりました。私がこの行進に参加したのは、運動不足の解消が大きな理由ですが、そんな気持ちがあったためでもあります。

  この行進の3日前、タジキスタンで国連監視団として活躍されていた前筑波大助教授の秋野さんが射殺されました。日本は平和であることの有難さを、もっと再認識する必要があると思います。

  広島に原爆が落されたのは、私が小学校3年のことでした。瀬戸内海をはさんで広島の対岸の愛媛県郡中町(現在の伊予市)という小さな町に住んでいましたので、「ピカドン」が広島に落されたということは子供心にも強烈に残っており、今でも鮮明に覚えています。おそらく何倍もの威力のある今の核爆弾だったなら、私も生きていなかったかあるいは原爆症に苦しんでいたことでしょう。

  核廃絶は、イデオロギーや国家や政党をこえて、人類の義務といっても過言ではないと思います。

健康器具を使ってみて

椅子式マッサージ機

  4月25日の日経新聞によると「椅子式マッサージ機の売れ行きが好調だ。消費者の健康指向に対応し、メーカー各社がデザインにも配慮した製品を続々と投入した結果、高齢者用器具というイメージが薄らぎ市場が広がっている」とのことです。

  こんな記事に乗せられたわけではありませんが、家内が以前から欲しがっていたのと私も腰痛を抱えているため、4月末に購入しました。その記事には「購入する際は実際にテストしてみて、マッサージの感覚が自分に合っているかどうかを確認することがポイント」とあったので、ゴールデンウィーク中のバーゲンセールを行っている近くのコジマ電気に出かけました。

  7台の機械が展示されていたので、かわるがわる座ってモミ心地を調べました。柔らかいモミ心地のものもあれば強くていかにも利くといった感じのものもあります。それぞれセールスポイントが違っており、一長一短があります。いろいろ便利な機能がついているものは当然値段が高くなっています。

  ゴールデンウィークの谷間でお客が少なかったのも幸いして、ゆっくり何回もテストできました。相手をしてくれたセールスのおばさんも最初は「今日でよかったですね。昨日は休日だったので皆さん座るのにお待ちになっていましたよ」と言ってくれましたが、なかなか決めないのであきれてどっかへ行ってしまいました。

  決定権は家内が持っております。さんざんテストして決めたのは松下電工のアーバンソフィアで「女性を意識したソフトなモミ味」が特徴です。たしかに他の機種はよく利くがちょっと痛い感じがしました。定価18万5千円が値引きで13万8千円となりました。他の電器店と比べて安いか高いかは不明です。

  使った感想はテストの時に感じたように軟らかなモミ心地がとても体に合っていて、機械任せの自動コースを選んで揉まれながらテレビを見ているとついうとうとしてしまいます。部屋の家具としてみてもあまり大きくなくデザインもすっきりしております。ただし、タタキ、バイブレーション、電動リクライニング、音楽といった機能は付いていません。

他の電化製品での経験ですが、いろいろな機能がついていても、使わないことが多いので基本的な機能があればいいのではないでしょうか。

お詫び

  読者の1人の大門さんから、ワインについてのすばらしい原稿をいただきました。今月号に掲載する予定でおりましたが、紙面の都合で乗せることができませんでした。

  次号にはかならず皆様にお届けすることをお約束いたします。

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