テキスト ボックス: 高齢者の豊かな生活のために                       1998年9月20日発行
手 賀 沼 通 信 (第6号)      〒270-1147 千葉県我孫子市若松151-3
  (TEL&FAX:0471-83-2898) (E-mail:y-nitta@mvc.biglobe.ne.jp)             新田良昭








     「手賀沼通信第6号」は、アルコールと食べ物に関するテーマでお届けしたいと思います。  読者の一人、グルメの大門さんから、ワインについてのすばらしい一文をいただきました。


特別寄稿
ワインを愉しむ                                         大門三代松  
  
                                                                                            ◆大門さんプロファイル − ワイン歴30年。中国酒、日本酒にも造詣が深い。要はお酒なら何でもこいということ。はるばるワインをたずねてフランスの原産地まで行ったことも。平成5年6月日本アイ・ビー・エムを退職後ますますグルメにのめり込む。日本アイ・ビー・エムのセカンド・キャリア・プログラムによる退職者のためにABC(アメニティ・ブライト・クラブ)を主催◆

  一昨年来、急激に何回目かのワインブームのようである。

  ひと頃のボジョレヌーボーの大フィーバーがやっと下火になったと思ったら、今度は赤ワインに含まれているポリフェノールが健康に良いとのことで、昨今の経済不況にも拘わらず品薄状態が続いている。一方白ワインも赤ワインに負けじと殺菌効果を強調して販売攻勢はますますエスカレートの状況である。

  昨年秋、山梨県の醸造家を訪ねたおりの話では、赤ワインの生産が間に合わず、輸入物を使用して間に合わせているとのことであった。(国産ワインが良いということではないが)
  最近の安売り店でのワイン価格がジワジワと上昇しているのが気掛かりである。
  ワインを楽しむには、安くておいしいワインを入手することは当然である。

  ワインの購入方法はデパート、量販店、ダイレクトメール、展示会等を利用している。購入の基準は品質が良いこと、価格が適正であることの2点に尽きる。品質が良いこととは、色、香り、味の3点である。これは人間の5感のうち3感を楽しませてくれるわけである。またワインは大変デリケートな性質なので、輸送方法、保管方法の良し悪しがワイン本来の品質に多大な影響を与えてしまう。
  ワインを丁寧に取り扱っている店を選びたい。たとえば陳列方法等を見てもよくわかる。
  価格についてであるが、一般的にいって高い値段のワインは美味しくて当たり前である。自分の好みの品質と懐具合とを相談して購入することとなる。
  忘れてならないのがワインの氏素性である。ワインの出来映えは自然(太陽、土地、水、風等)の大いなる恵みと葡萄の品種、醸造家のワインに注ぎ込んだ情熱そのものなのである。
  氏素性の見極めの手がかりの参考として輸入量の多いフランスワインを下記で見てみたい。

ワインをより楽しむための前知識

フランスワインの生産量の内訳
(1)ヴァン・ド・ターブル              50%   
      テーブルワインのこと
(2)ブランデーの原料となるもの        13%
(3)土地に応じた個性を持つワイン      37%

上記の土地に応じた個性を持つワイン  37%の内訳
(1)ヴァン・ド・ペイ                    9%
(2)産地限定高級ワイン   VDQS       3%
(3)原産地呼称統制ワイン AOC       25%

フランスから輸出されるワインの大部分  (日本の輸入も多い)
(1)AOCワイン
(2)有名ワイン商(ラベルにネゴシアンと書いてある)の銘柄ワイン

AOCに指定されている地区…およそ400地区がある
   400地区は下記7地区に大別される
(1)ボルドー・・・・・・・・・・・・・・・・・・…太平洋に面して
(2)ブルゴーニュ・・・・・・・・・・・・・・・・東北部
(3)コート・デュ・ローヌ・・・・・・・・リヨンを中心とした南北
(4)ロワール(サンセール)・・・・・・・・・パリの南
(5)シャンパーニュ・・・・・・・・・・・・…パリの北
(6)アルザス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・スイスの南
(7)コート・ド・プロヴァンス・・・・地中海に面して

  しかしここで要注意!  最近日本ではテーブルワインとヴァン・ド・ペイが非常に多く販売されていることだ。せっかく大枚をたたいて飲むならば、本物指向でいきたいね。

  むしろしっかりしたシャトーもののセカンドラベルワインをお勧めしたい。何種類かのいいワインを何人かで楽しむのが最もワインを楽しむのに適していると思っている。ABC会ではワイン入門会を随時開催しております。参加してみませんか?


サントリー武蔵野ビール工場見学

  8月の29日の土曜日にサントリー武蔵野ビール工場見学に行ってきました。東京都中高年勤労者福祉推進員協議会(中推協)の企画で、サントリービール工場を見学した後、モルツの飲み放題を楽しもうといううれしい催しでした。

  中高齢者26名(内3名が女性)は中央線国分寺にある武蔵野国分寺史跡やお鷹の道などを逍遥して汗を流したため、ビールを美味しく飲む条件は十分です。サントリー武蔵野ビール工場は南武線府中本町から徒歩12分、分倍河原の駅からは専用バスで5分足らずのところにあります。専用バスの車体はサントリーモルツの黄色と黒のツートンカラーで飾られ、まるで遊園地の中を走るバスのようでした。
  8月最後の土曜日とあって、ビール工場にもかかわらず家族連れや子供の団体の見学者が多く、混雑していました。見学は160分で、約40分の製造工程の見学と20分の試飲となっており、20分の間はビール(モルツ)またはジュースが飲み放題です。

  ビールができるまでの工程は、以下のとおりです。

二条大麦                                           水、ホップを加え、      酵母を加える 
                                  約12時間






アルコール5%

製造工程はコンピュータで管理され、きれいな金属のタンクでそれぞれ適切な温度に保たれています。ワインやウィスキーはじっくり寝かせると美味しくなる様ですが、ビールの場合は新鮮さが勝負という感じを受けました。

  見学コースの途中でサントリービール博物館の中を通ります。そこにはビールの歴史や世界のビールなどが展示されていました。ビールは約6千年前にメソポタミアで作られ始めたそうで、エジプトの壁画にビールを飲んでいる人物が描かれています。日本には江戸時代にオランダから伝えられた様です。ビール業界はリサイクルにも力を入れており、アルミ缶の回収率は70.2%で世界1とのことでした。みんな飲み放題の方に気を取られていて、駆け足の見学でしたが、もっとゆっくり時間をかけて見てみたいと思いました。

  最後はゲストルームで試飲です。モルツを中ジョッキでいただくのですが新鮮なビールがこんなに美味しいとは一度経験してみないと言葉では表せません。最後に2杯分のスーパーホップスの試飲券をもらって外のテラスで飲みました。台風4号の影響で、突然大雨が降ってきておお慌てで傘を広げたりしましたが、大変楽しい工場見学でした。
  ビールに目がない方はぜひ一度見学されてはいかがでしょうか。3月から10月までは日、月、祝祭日がお休み、11月から2月までは土、日、祝祭日がお休みです。予約が必要で、042−360−9591の工場案内係まで電話すれば受け付けてもらえます。


料理を楽しむ

1.男性料理教室で学ぶ

  この5月から我孫子市の中央公民館で開催されている「男性料理講座」を受講しています。この講座は、月に2回土曜日の午前中の2時間、11月まで合計12回開かれます。生徒は全員男性で中高年ばかりです。30名の定員に対し61名の応募があり抽選で選ばれました。
  先生はいろいろな料理講座を担当されているベテランの女性の方で、女性の生徒に対してはかなり厳しいとの評判ですが、われわれ男性に対してはとても親切で丁寧に教えてくれます。わからなくなった時はすぐ手助けをしてしてもらえます。おそらくみんな出来の悪い生徒だから、厳しくしても仕方がないとあきらめておられるのかもしれません。山本五十六流に「してみせて言ってきかせてさせてみて誉めてやらねば料理はできまじ」といった感じです。それ以外に3〜4人のお手伝いの女性がついてくれます。
  30名の生徒は5人ずつ6つの班に分けられています。班毎に1台のキッチンテーブルが与えられます。キッチンテーブルには流しと2つのガステーブルがあります。まな板と包丁は2つずつ、調味料セットと炊飯器は1つ、それに各種のなべ、フライパン、ボウル、洗い桶、その他もろもろの料理道具がそろっており、共同で使う冷蔵庫や電子レンジやオーブンなどもあって、その気になれば何でも作れる環境です。ただ、公民館が古い建物のため冷房がないのがちょっときついところです。

  費用は12回で7500円の材料費だけで受講料は無料です。町の料理教室ですと1回数千円の受講料がかかるのですがここは大分割安になっています。自分で用意するのは、エプロン、三角巾、お手ふき、台ふきん、食器ふきんです。最初はエプロンと三角巾をするのがなんとなく面映ゆかったのですが、すぐ慣れました。
  今まで半分の6回が終わりましたが、面白いもので、誰も何も言いませんがなんとなく5人のメンバーの役目が決まってきます。包丁を使って材料を切る人、なべやフライパンを使って煮たり炒めたありする人、調味料を混ぜ合わせてかけ汁を作る人、口は出すがあまり手を出さない人などです。終わった後も、食器を洗う人、拭く人、片づける人などいつも同じ役目になってしまいます。生ゴミだけは話し合いで交代で持ち帰ることにしました。
  作ったものは、最後にテーブルを囲んで班毎に食べます。ちょうどお昼に終わるため格好の昼食となります。5人の内大体1人は都合で欠けることが多く、その時は先生やお手伝いの女性の方に試食してもらい、出来ばえを批評してもらいます。毎回なにか失敗して注意されました。

  今までのメニューをご紹介しましょう。

1回目  豚汁、大阪づけ、鮭のマリーネ
2回目  キャベツと豚肉のみそ炒め、玉ねぎとトマトのかき卵汁
3回目  とんかつ、ジャガイモとワカメのみそ汁、タコとキュウリのみそ汁
4回目  鮭ずし、かぼちゃのそぼろあんかけ、豆腐とみつばの清汁
5回目  冷やそうめん、枝豆
6回目  なすの中華風サラダ、鯖と春雨の和えもの、牛肉とにんにくの炒めもの


2.我が家での週2回の料理当番

  料理を習い始めた頃家内と話し合い、私が週2回夕食を作ることにしました。せっかく習ったことを覚えるためと家内の家事の負担を少しでも軽くすることが目的でした。今までもごくたまに料理をすることはありましたが、なべ物、焼き肉、焼きそば、刺し身などで、調理するというより材料をきりそろえるのが主で、とても「料理を作る」というものではありませんでした。今度はスケジュールを決め、少しなりとも調理したものをつくることによって、「献立を考える」「レパートリーを増やす」「料理の腕を上げる」「マニュアルを見なくても作れる」などを目指しています。

  まだ始めた直後なので失敗ばかり、結果をうんぬんするところまではいっていませんが、それでも今まで気がつかなかったことで今回初めてわかったことがいくつかあります。
  一つは献立を考えるのは結構大変ということです。よく家内が毎日献立のことを考えるのと頭が痛くなるといっていました。確かに大変そうだとは思いましたが、あまり実感はできませんでした。ところが自分で献立を考えてみると本当に大変です。
  我が家は家内に、家内の父親、サラリーマンの息子の4人家族で、時々娘一家の3人がやってきて食事をしていきます。私は好き嫌いがなくなんでも食べるのですが、娘は食べられるものが限られておりその他の家族も好き嫌いが少ないとはいうものの、いくつかだめなものがあります。献立はみんなが食べられるものを考えないと満足してもらえません。それとその前1週間くらいに食べたメニューは避けるほうが喜ばれます。肉類を出した翌日は魚にするとかバランスを考える必要もあります。そんな条件を考えながら自分が作れる献立というと、やはり頭が痛くなります。
  二つ目は料理も失敗しながら覚えるものということです。一番よくやる失敗は食材の量を間違えるということです。料理教室やマニュアルには、普通4人分の量が出ておりますが、それだけでは足りないことが多く、といって多めに作ると今度は多すぎたり、なかなかうまくいきません。また野菜や肉の切り方などの細かいことは、一応出てはいますが、実際に包丁を使って切る時は迷ってしまいます。多少大きくても食あたりすることはないと、エイッとばかり切りますが、結局は失敗しながら、文句を言われながら経験で覚えるしかないと思います。
  三つ目は料理は楽しんでやるものということです。食べ物は楽しみながら食べるものです。毎日のことですからおそらく人生の最大の楽しみでしょう。その楽しみの食事は楽しみながら作らないと、食べる人に楽しんでもらえないと思います。料理も作る人の気持ちが入っていないといいものは作れません。新鮮で美しい材料を使い、美味しく見た目も見事な料理を作る−それが料理を作る人の楽しみだと思います。

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